1994 Fiscal Year Annual Research Report
吹雪障害防止のための、道路形状に基づく空力特性を考慮した、高性能防雪柵の開発
Project/Area Number |
05558041
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽二生 博之 北見工業大学, 工学部, 助教授 (70172955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 弘志 北見工業大学, 工学部, 教授 (70003176)
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Keywords | 吹き払い防雪柵 / 地吹雪 / 視程障害 / 交通障害 / 高盛土道路 / 画像処理 / 有孔板 / 剥離せん断層制御 |
Research Abstract |
昨年度は、現行の基本設計を大きく変えることなく、かつ気流の運動量を十分に活かした棚として、4枚ある防雪板の一番上の板を有孔板にして剥離せん断層を制御し、各防雪板の設置角度を変化させることによって高い吹き払い効果が得られることが分かった。本年度はまず水路実験において新たな画像処理手法を開発して柵下流の路面付近における速度分布を求めた結果、有孔板を用いたモデルにおいて吹き払い効果が改善されることを定量的に確かめることができた。これに基づき北海道内の防雪柵メーカーとの打合わせを行ない、東北地方および北海道において実際の道路に有孔板を用いた柵を設置して性能の評価を行ない、効果が確かめられている。一方、さらなる性能の向上を得るため、現行の基本設計にとらわれることなく、より流体工学的見地から新しいタイプの柵の開発を行なった。その結果、柵の防雪板の形状をこれまでの平板状のものから、各板に反りを持たせた曲線形状のものを考案し、いわゆる翼列を構成した場合に吹き払い効果がより向上することが分かった。特に柵全体を風上に20°傾けたものが気流の運動量を消失することなく、気流および浮遊する雪の粒子を路面付近に集中させ、視程が大幅に改善されることが分かった。このタイプは柵高の数倍下流(現行のものは2倍程度)まで路面付近の気流の巻上がりが生じず、高速道路や高規格道路のような道路幅員の広い場合にも十分に対応できることが分かった。今後の課題としては、翼型の防雪板では吹き払い効果の改善に伴って柵に働く揚力が増大し、柵基礎の設計の見直しが必要になるものと思われる。しかし、今後の研究においてモーメント力や力の成分がうまく配分されるような柵の形状を開発することによって、流体力による問題も解決できるものと考えている。また、柵形状を曲面化することで、制作費の増大が心配されるが、パイプやシートなどを組み合わせることによって近似的な曲面を形成して、コストの低減も十分可能である。今後も防雪柵メーカーの協力を得て、研究を続けて行く考えである。
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