1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05558063
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 邦夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 邦和 ダイキン工業(株), 機械研究所, 所長
鈴木 祐二 東京工業大学, 工学部, 助手 (20242274)
中別府 修 東京工業大学, 工学部, 助手 (50227873)
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Keywords | ヒートポンプ / ランキンサイクル / 慣性 / フリーピストン / 膨張圧縮機 |
Research Abstract |
本研究では、膨張機(エンジン)で発生する動力を直接圧縮機の動力として用いる方法により効率を向上させる。本研究の膨張圧縮機は、円筒容器内に1つのフリーピストンを入れただけの非常に簡単な構造で、高圧蒸気が中圧まで膨張する際の仕事を、一旦フリーピストンの運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーを用いて、低圧蒸気を中圧までにまで圧縮する。 このため、本膨張圧縮機は作動蒸気と外気とを隔てる摺動部分は1つもなく、完全に外気と遮断されており、作動媒体が漏洩し環境汚染を生じる必要は全くない。更にこのような簡単な構造の為に、制御も非常に簡単化することが出来る。 本研究の試作する膨張圧縮機の構造は、1つの円筒シリンター内に、1つの自由に動くピストンを入れ、これによって区切られた2つの空間に、それぞれ高圧、中圧、低圧用の3つのバルブを取り付けたものであり、それぞれのバルブはピストンの移動に応じ開閉する。 理論解析においては、実際に運転する際に問題になる(1)ピストンとシリンダーの摩擦損失、(2)バルブを通しての蒸気の吸入・排気時の圧力損失、(3)壁面と蒸気の間での熱移動によって生じる放熱損失、(4)最大圧縮状態での容積が零でないことによって生じるクリアランス損失、を全て考慮する必要があり、今年度はエアーシリンダーを用いた実験装置により、圧力およびフリーピストンの位置の測定を行い、これらの未知量を実験的に明らかにした。その結果、(1)ピストンとシリンダーの摩擦損失は理論的な予測値と実測値がほぼ一致し、摩擦は本装置の作動の上に大きな障害とならないことが明らかとなった。一方、(2)バルブを通しての蒸気の吸入・排気時の圧力損失はかなり大きくバルブの実効断面積は最大開口面積の五分の一にしかならないことが分かった。このため、来年度は既成のバルブではなく新たなバルブを試作する必要があることが明らかになった。また、ピストンによって仕切られた2つの膨張室の圧力差によって生じるもれについては、膨張性能にほとんど影響を与えないことが分かった。
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