1993 Fiscal Year Annual Research Report
二面角を独立変数とする生体高分子系シミュレーション・システムの開発と実用化
Project/Area Number |
05558086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
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Keywords | 生体高分子 / 計算機シミュレーション / ダイナミックス / 二面角 / 蛋白質 / 核酸 / 分子動力学 / モンテ・カルロ・シミュレーション |
Research Abstract |
われわれは過去十数年に渡って二面角を独立変数とする生体高分子系の立体構造とそのダイナミックスをシミュレートする計算体系とそれを実行するためのソフトウエアの体系を世界に先駆けて開発し、またそれを用いた研究においても、、世界をリードするいくつかの成果を挙げてきた。しかしこの計算手法は、われわれが有用性・可能性の割には、世界的に広く用いられている状況にはない。そこで本研究では、第一にわれわれのソフトウエア体系を広く世界の研究者が使える形にするための準備をする。第二にその際既成の計算体系を拡張し、より広い範囲の問題が扱えるようにする。第一の点に関しては、アメリカのこの方面のソフトウエアの専門の会社と接触をはじめ、その会社の既成のソフトウエア体系に載せるうえでの問題点を研究している。第二の点に関しては、次の3つの問題に取り組んできた。1)今まで主に蛋白質を対象に開発してきた方法を核酸にも適用するために、核酸の主鎖を構成しているリボースの擬回転を解析的に取り扱う方法を開発した。(現在4編の論文にまとめている)。2)二面角を独立変数とするニュートン方程式の効率的数値積分法を開発した。素朴な方法では分子の大きさの3乗に比例する記憶領域を必要とするのに対して、2乗で済ます方法を開発した。(これも現在論文にまとめている。)3)規準振動を独立変数とするモンテ・カルロ法の開発。これは、当初のアイデアに問題があることが分かって、少し軌道修正した方法の可能性を調べている。
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