1993 Fiscal Year Annual Research Report
種々の自己免疫疾患を個別発症する系統マウス群の育種とその遺伝子解析
Project/Area Number |
05558102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
能勢 眞人 東北大学, 医学部, 助教授 (70030913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 秀樹 (財)実験動物中央研究所, 室長 (30142053)
山本 徳男 東北大学, 遺伝子実験施設, 教授 (30192412)
西村 正彦 浜松医科大学, 動物実験施設, 助教授 (20073661)
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Keywords | 自己免疫病 / 疾患モデルマウス / 糸球体腎炎 / 動脈炎 / 関節炎 / 腎炎原性抗体遺伝子 / 骨髄キメラ / マクロファージ |
Research Abstract |
自己免疫病、中でも全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性動脈炎などに代表される膠原病は、免疫異常を基盤とするも、現在可能な種々の免疫学的パラメーターをもってしてもこれらと疾病発症との間にはなお多くのギャップがある。このギャップを埋める要因を解明する目的で、これら膠原病を重複して自然発症するMRL/Mp-lpr/lpr(MRL/lpr)マウスをモデルとし解析を行った。このマウスの疾病発症がFas抗原のdeletion mutantであるlpr遺伝子のみならず、MRL系マウス固有の背景遺伝子に規定されるとの事実を得たことから、個々の疾病の発症に関連する背景遺伝子の解析を進める中で、以下の成果を得た。 1)MRL/lprとC3H/HeJ-lpr/lprとの交配を通じて得たマウスの中から血管炎を個別発症する系統マウスを樹立しつつある。また、関節炎を早期にかつ高頻度に発症する系統も得つつある。 2)MRL系マウスにYaa遺伝子を導入したところ、MRL/lprマウスの肉芽腫型動脈炎とは異なったタイプの動脈内膜炎を発症する系統が得られた。これは血管炎の背景遺伝子が血管構成細胞にある可能性を示唆する。 3)MRL系マウスにFas ligandのmutantと目されているgld遺伝子を導入したMRL/MpT-gld/gld(MRL/gld)を新たに作出し、MRL系マウスへの腎炎、動脈炎のbone marrow cell transferを初めて可能にした。さらにC3H系へは血管炎のtransferが出来ない事実を得、この事から血管炎の背景遺伝子は骨髄幹細胞のみに存在しないことが明らかとなった。 4)MRL/lpr、MRL/gldマウスより正常マウスに糸球体腎炎を発症せしめる単クローン性抗体を11クローン得、個々の抗体遺伝子を解析した結果、これらの腎炎原性抗体産生B細胞はそれぞれ異なったB前細胞に由来しており、そのクローン多様性が明らかとなった。 5)上記11クローン中2クローンの腎炎原性抗体遺伝子のgermline V_H geneの同定により、腎炎の背景遺伝子はgermline geneそのものではなくそれを引き出す機序にあることが判明した。 6)MRL/lprマウスにはMφ機能異常が存在する。そこでこのマウスで産生が亢進している、Mφ活性化サイトカインの一つであるEta-1の遺伝子解析を行った。その結果、Eta-1分子にアロタイプが存在することが明らかとなり、マウス系統間におけるMφ機能的差異を解析する上での重要な手掛かりを得た。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takahashi,S.,et al.: "Cloning and cDNA sequence analysis of nephritogenic monoclonal antibodies derived from an MRL/lpr lupus mouse." Mol.Immunol.30. 177-182 (1993)
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[Publications] Fossati,L.,et al.: "An MRL/MpJ-lpr/lpr substrain with a limited expansion of lpr double-negative T cells and a reduced autoimmune syndrome." Int.Immunol.5. 525-532 (1993)
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[Publications] Heyman,B.,et al.: "Antibody feedback regulation in MRL/lpr mice." J.Autoimmunity. 6. 437-448 (1993)
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[Publications] Itoh,J.,et al.: "Induction of different types of glomerulonephritis by monoclonal antibodies derived from an MRL/lpr lupus mouse." Am.J.Pathol.143. 1-8 (1993)
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[Publications] Kanno,H.,et al.: "A macrophage differetiating factor derived from human T cell line HUT102 acting on a myeloid cell line Ml." Tohoku J.Exp.Med.171. 43-52 (1993)
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[Publications] Kanno,H.,et al.: "Immune complex-degradation ability of macrophages in MRL/Mp-lpr/lpr lupus mice and its regulation by cytokines." Clin.Exp.Immunol.95. 115-121 (1994)
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[Publications] Nose,M.(分担): "Intractable Vasculitis Syndromes" Hokkaido Univ.press(Sapporo), 284 (1993)
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[Publications] 能勢眞人,他(分担): "分子病理学" 文光堂(東京), 589 (1993)