1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05610031
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金児 暁嗣 大阪市立大学, 文学部, 教授 (10047350)
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Keywords | 死の不安 / 来世信仰 / 死生観 / 宗教性 / 状態不安 |
Research Abstract |
1本研究の目的は、来世信仰による死の不安の軽減について実験的アプローチを試みることである。 2そのための第1段階として、まず内的整合性の高い来世信仰尺度を構成した。 来世信仰尺度の構成にあたっては、来世の存在や他界観、および死に関する意見項目を、諸文献や幅広く多数の人から収集し、これに基づいて6件法によるリッカートタイプの質問紙を作成した。質問紙は、「来世や他界に関する項目」(103項目)と「死生観に関する項目」(131項目)から成っている。これを大学生442名(男子309名、女子133名)に実施した。因子分析の結果、前者については「来世信号」、「理想の世界」、「現世志向」、「輪廻」、「心の平安」の5因子、後者については「暗黒と消滅」、「苦痛と恐怖」、「浄福な来世」、「無関心と逃避」、「人生の集大成」、「生の証」、「未知なるもの」、「ニヒリズム」、「身近なこと」の9因子が得られた。 3上記の諸因子に対して施した高次因子分析の結果に基づいて、あらたな尺度を構成し、信仰地帯といわれる福井県民(選挙人名簿から無作為抽出)、浄土真宗本願寺僧侶(寺院台帳より無作為抽出)および門信徒(本願寺の定期発行機関紙から無作為抽出)に対して郵送調査を実施した。その結果、信仰によって死の不安が軽減されていることが確証され、尺度の妥当性が確かめられた。 4上記【.encircled2.】の「死生観」に関わる9因子に基づいて、あらたに構成された来世観と死生観の尺度を約400名の学生に実施し、とくに来世信仰尺度の高得点者、低得点者それぞれ60名を被験者とした実験を続行中である。
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