1993 Fiscal Year Annual Research Report
幼児・児童期における対人関係ルールの獲得と社会的適応過程の縦断的研究
Project/Area Number |
05610084
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 公治 北海道大学, 教育学部, 助教授 (60113669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城谷 ゆかり 北海道大学, 教育学部, 助手 (70235761)
若井 邦夫 北海道大学, 教育学部, 教授 (40000632)
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Keywords | 遊びテーマの共有化 / 社会的相互作用 / 縦断的研究 / 生態学的観察 |
Research Abstract |
本年度は研究の前半段階として、幼稚園と保育所の2つの保育施設に在籍している幼児について、自由保育の時間における遊びを自然観察を継続的に行い、6月より12月までの間で2つの保育施設の観察、合わせて120時間の観察記録が収集された。これの中で、社会的な相互作用分析を行っていくための第1次作業としてのプロトコル分析が、約150のエピソード場面について行われた。これらについては、まず録画されたビデオテープから言語的、および非言語的な相互交渉の内容が逐語記録の形で文字化された。これらのプロトコルデータを基にしながら、プロトコル分析と社会的な相互作用の分析が行われた。 2つの保育施設の幼児の中、幼稚園の方の幼児については、主として年長児の集団における相互作用過程と、集団としての形成・集団への適応過程を分析した。これら年長児集団を軸として、年少児については年長児との相互作用や年長児集団との関わりの中で扱われた。年長児集団の相互作用と集団としての形成過程や勢力関係が年長児集団を構成している年長幼児相互の行動連鎖の分析、相手の話しかけに対する応答率、遊びのテーマの発案・採択をはじめ、遊びの主導性やその内容といった遊びについての内容分析を行うことによって年長児集団の構造とその形成過程を明らかにした。また、年少児については1学期までの比較的年少児が単独で行動していることが多かったのと比べて、2学期からは年長児集団の中に一部加わりながら、集団の遊びのルールや遊びのテーマを共有し、次第に適応していく変化を明らかにした。 保育園の幼児については、主として3歳児と4歳児について継続的な観察が行われ、遊びが成立した時に子ども達はどのような遊びのテーマの共有化とそのための種々の社会的な相互交渉スキルを使用しているかが分析された。特に3歳児と4歳児では遊びのテーマの共有化や遊びの持続・維持、発展で違いが見られたことと、同時に3歳児、4歳児の相互作用過程の変化が約8か月の継続的な観察結果から析出することができた。
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