1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05610129
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河合 千恵子 (財)東京都老人総合研究所, 心理学部門, 研究員 (00142646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下仲 順子 東京都老人総合研究所, 心理学部門, 室長 (70073004)
中里 克治 東京都老人総合研究所, 心理学部門, 研究員 (50110028)
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Keywords | 死の態度 / 死についての関心 / 死の受容過程 / 生涯発達 / 死別体験 / 親の死 / 中年の危機 / 神経症傾向 |
Research Abstract |
1.研究の目的 死の受容意識についての発達過程を明らかにすることが、本研究の目的である。そのため青年期から老年期まで広範囲にわたる年齢層の人々が研究対象となるが、死に関わる発達的課題と状況的要因はそれぞれの世代で異なるため、青年期、中年期、老年期の3群を別個に調査することが実際的である。老年期は本研究に先だって、既にデータを収集済みであることから、本研究では中年期に焦点をあて調査をおこなった。 2.方法 東京都のT区に在住する30代から50代の男女を住民票から無作為に抽出し、495名に面接調査を行った。調査に使用した尺度と質問項目は以下の通りであった。 1)死の態度についての測定:Dickstein(1972)の死の関心尺度、Grsser他(1987-88)の受容尺度 2)死別経験:対象、時期、衝撃度 3)死の態度と関連すると思われる要因:宗教観、性格特性、中年期の危機意識など 3.結果 1)死の態度のについて:死についての関心は、50代より30代、40代の若い年齢層のほうが高かった。また、若い年齢層は死に対する恐怖感がより高く、死を受容できないことが示された。 2)死別経験について:中年期の対象者の死別体験は、祖父母と両親の死が主なものであった。死別体験と死への態度との関係では、衝撃が大きい死別を体験した者は、死の恐怖が少ないことが示された。 3)死の態度と性格特性との関連:神経症傾向の得点の高い者は死の恐怖感が高いことが示された。 4.今後の展望 今回は中年期の対象者に限定して調査を行ったが、今後は青年期の対象者について調査を行い、青年期から老年期までにわたる生涯発達的な観点から死の意識についての過程を検討したい。
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