1993 Fiscal Year Annual Research Report
地域変動下の生活構造の変容と農村高齢者の自立に関する実証的研究
Project/Area Number |
05610133
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
千葉 悦子 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (30217244)
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Keywords | 地域変動 / 生活構造 / 農村高齢者 / 自立 |
Research Abstract |
農村高齢者の精神的・経済的自立・生活者的自立の条件を解明することを研究目的にして、本年度は1.既存の関係文献をサーベイし、その視点、方法、対象等についての検討を加える。2.高齢者に対する政策動向を把握する。3.高齢者をめぐる地域でのすぐれた事例の資料収集によって動向を分析する。4.農村地域の生活構造を把握するための基礎作業として統計分析を行う。という、4点をとくに重点的に行った。その結果、従来の高齢者をめぐる研究には福祉的接近が多く、また、高齢者層のみを取り出して検討を加える傾向が多くみられることを確認すると同時に、農村高齢者の自立の条件や諸契機をより具体的に解明するには、地域農業構造のあり方やそれと密接な関わりのある地域社会の構造分析が重要であること、とくに、地区レベルでの住民諸階層の生産・生活の諸活動のあり方が高齢者の経済的・生活者的自立はもちろんのこと、「生きがい」づくりを含む精神的自立にとって決定的であるという理論的仮設を得た。また、農民家族の構造と機能を踏まえることが不可欠であること、このことは女性高齢者にとどまらず、若年及び中高年の女性の家族や地域での位置づけいかんが、地域の活性化に大きな影響を及ぼすことも掴んだ。次年度はこうした仮設にもとづいて、地域農業の振興に高齢者を位置づけている事例、高齢者地域福祉の事例、地域生涯学習と結び付けている事例等から地域を選択して、本格的な調査研究を行い、農村高齢者の自立に関わる諸課題を掘り下げることによって、本研究を全体としてまとめていきたいと思う。なお、次年度に予定している本格的な調査の予備作業として、地域農業の振興に高齢者を位置づけ、地域の活性化をはかっている事例の訪問調査も一部行っている。
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