1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05610149
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安河内 恵子 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (10195696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 倫嗣 熊本大学, 教育学部, 助教授 (70161891)
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Keywords | 地域変容 / 地域振興 / コミュニティ / 企業立地 / 企業進出 / 旧産炭地問題 / 自治体行財政 / 生涯学習 |
Research Abstract |
平成6年度の研究は、昨年度から実施していた地元自治体および関連する企業へのヒヤリング調査を継続して行うとともに、コミュニティ・リーダーに対する「トヨタ進出問題」への対応に関するヒヤリング調査も並行して実施した。その際、トヨタ自動車という大企業の進出により、「旧産炭地」である筑豊地域の社会構造、権力構造がどのように変容したか、また地元自治体の行財政構造がどのように変容したかという点を中心に研究を進めた。 まず、社会構造の変容については、トヨタ自動車本社が愛知県下で展開してきたような地元自治体、地域への干渉はほとんどみられず、「自律型」ともいうべき態度をとっていることが明らかとなった。トヨタ自動車は愛知県での対応に対する反省からか、職場と住居を異なる自治体に振り分けるという、職住を完全に分離した形態を採用し、その両側面において一つの自治体と関連をもつことを避ける対応を取ってきている。しかし、そのようなトヨタ側の戦略にもかかわらず、地元の宮田町は、さまざまなレベルで大企業と接することによって、これまでの対応のあり方、自治体行政のあり方に変容を迫られていることも事実である。その意味では、旧産炭地の社会構造は、トヨタ側の意図とはかかわりなく、変容過程にあるといってよいであろう。 権力構造については、愛知県で行われてきたような議員や首長の擁立といった現象はいまだみられない。この点については、操業後まだ間がないことと大きく関連しているものと考えられる。今後の追跡調査が必要であると思われる。 地元自治体の行財政構造は、トヨタ自動車九州(株)として現地法人化され独立採算制を取ったため借入金超過の状態にあり、税収がいまだ得られていないこともあって、大きな変化はみられない。しかし、近い将来には、宮田町の財政構造そのものを大転換させるだけの税収があることは明らかであり、その際には権力構造の変容とあいまって、自治体の構造転換が余儀なくされることは必至である。この点についても、将来の調査をまたなければならない。 全体として、これまでトヨタ本社が取ってきた対応とは全く異なる方法で地元自治体に接しており、その点では興味深いケースを示している。しかし、上記の理由で今後の追跡調査が是非必要とされる。
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[Publications] 安河内 恵子: "自動車産業立地を契機とした地域づくり" 地域づくり研究会(地域振興整備公団・福岡県・宮田町・若宮町), 42 (1994)
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[Publications] 古賀 倫嗣: "宮田町生涯学習に関する町民意識調査報告書" 宮田町教育委員会, 350 (1994)