1994 Fiscal Year Annual Research Report
日系人労働者家族の定住化に関する調査研究-生活構造・意識の変動を中心に-
Project/Area Number |
05610160
|
Research Institution | TOYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
喜多川 豊宇 東洋大学, 社会学部, 助教授 (40103569)
|
Keywords | 日系人 / 定住化 / 大泉町 / コスモポライト / 半定住 / 在日ブラジル村 / 広域ネットワーク社会 / 還流現象 |
Research Abstract |
円高基調が始まると、ことに、新入管法の施行によって、日系人2、3世並びにその家族の定住が認められると、還流現像が活発化し、過去85年間に、伯国に、25万人余の移民を送り出したのが、この5年間で、これを超える日系伯国人が来住した。受け入れ側の社会と摩擦や適応などの問題が発生している。送りだし側の伯国における日系移民社会の生活構造・意識の変動を捉えつつ、日本への日系人労働者家族の定住化を、生活構造・意識の視点から、昨年に引き続き、実証的・総合的に調査研究を行った。 群馬県太田市、大泉町など、企業城下町といわれる地方中小産業都市では、日系人が外国人労働者の中心を占め、欠かせない労働力になっている。不況にも関わらず、人手不足は変わらず労働力として定着している。大泉町では外国人登録人口が町民の6%弱に相当する。地方都市としては、日系人人口が極めて高率である。しかも、妻、子、親・兄弟・姉妹などの家族呼び寄せが進んでいる。南米の景気低迷、政情の不安定、治安の悪化などもあって、日本に定住したい層や、なかば定住したい層が現れてきている。かれらは、在日のブラジル村ともいうべき、広域ネットワーク社会を形成し、さらに定住基盤を確保しつつある。一過性の出稼ぎから定住へと変化しつつある。かれらを単なる労働力としてではなく、定住性をもった、生活者・住民として受け入れゆくことを行政、雇用主、地域住民は求められ始めている。かれらの受け入れのための適切な各種の生活基盤の整備が必要になってきている。日系人の雇用、医療・福祉、居住、子女教育、地域や職場での受け入れ、異文化摩擦など種々の行政ニーズが発生している。 次いで、日本とブラジルの双方に生活拠点をもちながら、行き来しながら暮らして行く、半定住移民層の存在を明らかにしたことを付記する。"コスモポライト"といわれる新移民である。トランスポ-テーション革命といわれる、テクノロジーが可能にした、移動性に富む、「半定住民」である。
|
-
[Publications] 喜多川 豊宇: "1993年大泉町における日系ブラジル人の生活構造・意識調査概要-1992年浜松調査との比較のなかで-" 東洋大学社会学研究所年報. 第XXVI号. 1-38 (1994)
-
[Publications] 喜多川 豊宇: "大泉町における日系ブラジル人の生活構造と意識-定住社会の形成-" 東洋大学社会学研究所年報. 第XXVII号. 55-128 (1995)
-
[Publications] 喜多川 豊宇: "大泉町・浜松市における日系ブラジル人の生活構造と意識-日系人広域ネットワーク社会の形成-" 東洋大学社会学部紀要. 第32-3号. 151-246 (1995)
-
[Publications] 喜多川 豊宇(共著): "出稼ぎ" サンパウロ日伯分化協会 発行, 212 (1993)