1994 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域流出者の意識とふるさと回帰ー岡山県笠岡諸島の住民の場合ー
Project/Area Number |
05610168
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Research Institution | Sakuyo Music College |
Principal Investigator |
中桐 規碩 作陽音楽大学, 音楽学部, 教授 (90211416)
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Keywords | 過疎 / 社会移動 / 地域社会 / 人口の流動性 |
Research Abstract |
平成5年度に六島、真鍋島、北木島楠地区、白石島、高島の調査を実施し、平成6年度は飛鳥、北木島豊浦地区、笠岡市美の浜地区の調査をおこなった。笠岡諸島の人口流出の原因は年齢と共に変化しており、第一エイジの成長期では教育・学校の問題が主であり、第二エイジでは結婚、就職、職場の問題が主になっている。第四エイジの高齢者にとっては医療と健康管理の問題がある。これらの諸問題が解決されていくところに過疎問題が解消していくカギがあると考える。 各島から流出した人が毎年2〜3%回帰しており、また流出した人がふるさとと断絶するのではなく常に交流を続けている。その状態を各島比較することによって内海本土接近型離島における過疎状態を明らかにしようとした。ふるさと交流指数によって流出者のふるさとへの接触状態を、回帰に伴う職業移動によって就職機会・職場・職業の問題を、家屋の管理状態によって回帰の意志を理解しようとした。 特に、本年度は笠岡諸島出身者が集住している笠岡市美の浜地区の調査により流出者の態度を知ることができた。流出者の全てがふるさとに回帰したいと考えているのではなく(定年退職後回帰したい人は50%しかいない)、回帰した者の意見のみを参考にしたのでは十分でないことが理解できた。また北木島豊浦地区の調査では地場産業のある地区とない地区(楠地区)を比較することができ、家族構成、年齢構造その他の点で相違のあることを認めることができた。小さな過疎社会であっても過疎に伴う諸問題が独立して生じるのではなく、相互に複雑に絡み合っており全体を全体として考察する必要があることが認識できた。次年度は、今まで調べた資料を検討して最終的な報告書をまとめる。
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