1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05610217
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Research Institution | Osaka Women's University |
Principal Investigator |
小股 憲明 大阪女子大学, 学芸学部, 助教授 (70117919)
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Keywords | 不敬事件 / 教育勅語 / 御真影 / 帝国憲法 / 民権運動 / 教育と宗教の衝突 / 忠君愛国 / 天皇制 |
Research Abstract |
1.平成4年秋、本研究への科学研究費補助金を申請した時点で把握していた明治期の不敬事件は31件であった。補助金を得ての平成5年度の研究によって、現在把握している不敬事件は90件に上った。このように多数の事件の存在を明らかにしたこと自体、新たな知見であるといえる。 2.90件の不敬事件を検討すると、次に示す三つの顕著な時期区分が可能であることが判明した。 (1)官憲が諸法規を動員して不敬言動を取り締まった「民権運動弾圧期」(明治7〜2年頃) (2)民間でキリスト教徒の不敬が摘発された「教育と宗教の衝突期」(明治22〜28年頃) (3)官民・上下が入り乱れて不敬や偽忠君の言論戦を繰り広げた「忠君と偽忠君の攻防期」(明治29〜45年頃) 3.これらの知見を、平成5年10月の教育史学会第37回大会で口頭発表した(『教育史学会第37回大会発表要綱集録』参照)。 4.各地に出張し、明治29年第二高等学校カロザース不敬事件、明治32年第五高等学校エルドマンスデルファー不敬事件、明治32年第三高等学校医学部主事管之芳不敬事件、明治40年滋賀県立商業学校ヴォーリズ解雇事件など、学校を舞台に発生した事件の関係資料を重点的に収集した。 5.尾崎行雄文相の共和演説事件に関する論文、高等中学校・高等学校における不敬事件に関する論文を公表する(平成6年3月)。 5.引き続き以下の作業を進める。 (1)さらに未知の不敬事件の発掘に努める。 (2)個々の不敬事件についての事実関係の詳細を明らかにしていく。 (3)最終的には、明治期の不敬事件について、その歴史的意味を総合的に考察する。
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Research Products
(2 results)