1994 Fiscal Year Annual Research Report
北陸の農村地域共同体における地域振興計画事業の実態の実証的研究
Project/Area Number |
05610248
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鹿野 勝彦 金沢大学, 文学部, 教授 (00169591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 麦子 金沢大学, 社会環境科学研究科, 助手 (20251910)
鏡味 治也 金沢大学, 文学部, 助教授 (20224339)
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Keywords | 地域振興 / 中山間農村地域 / 集落 / 世帯 / 過疎 / 観光開発 |
Research Abstract |
研究の第2年次にあたる平成6年度においては、(1)平成5年度に行った石川県鶴来町での現地調査で得た資料を整理、分析し、『鶴来町、新町と月橋町』(金沢大学文学部文化人類学研究室、1994年8月)を刊行するとともに、(2)白山麓に位置する石川群吉野谷村で資料収集を行い、特に2つの集落において面接、ききとりによる集中的な現地調査を実施して、そこで得た諸資料の整理、分析を進めた。 (1)においては、対象地域である白山麓の中心集落であった鶴来町が、1960年代以降その中心性を失い、地方中核都市である金沢の郊外に位置する周辺的存在に変りつつあること、地域振興計画、事業もその変化の過程を意識して展開されているが、なお充分に対応しきれず、行政においても、商工業者、通勤賃労働者、兼業農家などからなる住民の間でも、明確な方針や合意の形成が必ずしもなされていないこと、などがある程度具体的にあきらかにされた。 (2)については、現在なお作業が進行中であるが、地域振興計画、事業への意識や対応は、人口1500人前後という比較的小規模な村(行政単位)の内部においても、集落によって著しく多様であること、その多様性は単に立地条件によるわけではなく、それを構成する世帯や個人の主体的行動にも大きくかかわっていることが、例えば観光開発のありかたなどを通して、具体的にあきらかになっており、いわゆる過疎化の過程についての従来の理解にも相当の変更を迫られるものと考えている。なおそのまとめは、『吉野谷村、下吉野と中宮』(仮題)として、1995年中に刊行する予定である。
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