1994 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の民俗文化における中国的影響の受容を変容および同化に関する比較民俗学的研究
Project/Area Number |
05610256
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
小熊 誠 沖縄国際大学, 文学部, 教授 (90185562)
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Keywords | 風水 / 門中 / 清明 / 沖縄 |
Research Abstract |
平成6年度は、沖縄における風水思想および久米系門中に焦点を当てて調査を行った。 近年、文化人類学を始め、歴史学や地理学など学際的なアプローチから東アジアにおける風水思想についての研究が盛んになりつつある。沖縄では、近世以降琉球王府が留学生を通して中国から風水思想を導入し、当時の知識人を媒介にしてこの思想が普及したことが歴史文献などから解明されつつある。本研究では、現在沖縄の民間において風水思想がどのように受容されているかについて、主に実地調査によって資料収集した。 調査対象地の一つは、名護市屋我地島の我部は、『球陽』によると当時の山林政策により、1736年に現在の場所に村落移動させられている。この集落の聖地は、背後の丘陵に配置され、その丘陵から風水の右虎にあたる部分に松が植林されていること、また集落の前面にある羽地内海上にある小島を「村のフンシ(風水)」と呼んでいることなど、村人自身が村落の配置について風水によって解釈していると考えられる。また、家屋の建築や墓の造営の際に、現在においても風水によって方角を決めていることが分かった。方角を判断するのは、名護市の僧侶に頼むことが多く、その僧侶に対するインタヴューによると、住民の要求に応えるために風水あるいは易判断を学ぶ必要があるという状況がわかり、沖縄における仏教存立の特殊性がそこにうかがえる。 第二の調査対象地は、石垣市の名蔵で、そこに居住する台湾系住民が媽祖廟の建設を計画している。媽祖廟建設予定地に台湾から風水師を招いて風水判断をした際に、その実地調査を行った。 久米系門中に関する調査は、平成5年度の毛氏国鼎会に続いて今年度は梁氏呉江会を対象にした。本家で行われる清明祭の供物や礼儀に中国的風習を残している。また、婦人による清明など他の門中との違いが見られた。
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