1994 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス統治時代におけるインド政治の諸問題-パンジャーブの事例研究-
Project/Area Number |
05610295
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
四宮 宏貴 北海道大学, 文学部, 助手 (00170887)
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Keywords | インド / パキスタン / 分離独立 / パンジャーブ / 連合党 / 灌漑設備 / インド軍 |
Research Abstract |
パンジャーブパキスタン運動にとって重要な地域であっただけでなく、イギリスのインド支配にとってもきわめて重要な地域であった。今年度はイギリスのインド支配を長く支えた「パンジャーブ国民連合党」の誕生と発展の背景を探るための基礎作業として、第1に、地形、水系、気候、降水量といったパンジャーブの地理的条件、農村部における土地保有形態とその地域的差異、ムスリム、ヒンドゥー、スィク教徒などからなる宗派的構成と各コミュニティーの社会的特徴、および部族制とカースト制の実態、またこうした条件下で歴史的に形成されたパンジャーブ社会の権力構造、第2に、イギリスの対パンジャーブ政策とイギリス支配下でのパンジャーブ社会の変容、について調査した。特に第2の問題については、イギリスがパンジャーブに世界最大ともいえる潅漑設備を建設したことと、19世紀末までにパンジャーブがインド軍兵士の最大の供給地となっていたことに注目し、前者については潅漑設備と広大な入植地(canal colony)の建設の実態とそれがパンジャーブおよびインド全体に与えた経済的影響、そして後者については募兵と部族制の関係、募兵とス-フィー教団のネットワークとの関係などについて考察し、インド軍兵士を効果的に募るために、退役軍人に入植地の豊かな土地を与えるという政策が取られており、潅漑設備・入植地の建設とパンジャーブがインド軍の募兵センターになったこととの間に密接な関係があったという新しい知見も得た。
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