1993 Fiscal Year Annual Research Report
『太平記評判秘伝理尽鈔』およびその類書の総合的研究
Project/Area Number |
05610365
|
Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
長坂 成行 奈良大学, 文学部, 教授 (90131606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 正之助 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (70112365)
|
Keywords | 太平記評判秘伝理尽鈔 / 太平記理尽図経 / 太平記大全 / 陣宝抄聞書 / 口伝 / 聞書 / 前田藩 |
Research Abstract |
1.研究史の整理-『理尽鈔』の類についての過去の(特に戦前)の成果を整理し、研究文献目録(稿)を作成した。 2.伝本調査、関連資料の調査・収集-『理尽鈔』の伝本に関しては尊経閣文庫・群馬大学新田文庫・金沢市立図書館・金沢文学・小浜市立図書館・大阪府立中之島図書館・島原松平文庫・秋月郷土館・九州大学等の調査と紙焼写真による収集を行なった。この過程の中で、従来殆んど手がつけられていない伝本分類上の基準についての手がかり(分冊のあり方、奥書、内尾題等)を得た。また『理尽鈔』の伝本の一つと考えられていた新田文庫蔵本・九州大学蔵本は『理尽鈔』ではなく、『理尽鈔』に対する異議申し立ての如き書かと推され、詳細は来年度に報告の予定。『理尽鈔』享受の枢要の地である加賀前田藩にかかわる文庫・図書館では従来未紹介の『理尽鈔』全巻に渉る口伝の聞書、『理尽鈔』享受の実態を示す『陣宝抄聞書』、『太平記理尽図経』の序文・跋文・新出写本等を見出した。これらによって『理尽鈔』享受のあり方、『理尽図経』の成立について試論を提出することが可能になった。更に九州大学では極めて多量の書き込みがある『太平記大全』を見出し、これも『理尽鈔』享受の実態を伺わせるものである。 3.『理尽鈔』および類書の体系的位置づけ-上記作業の成果の一部を取り入れ、『理尽鈔』の本文生成の典型的な部分を例として、『理尽鈔』と『無極鈔』以下の類書との相互関係についての試論を提出した。 4.校本作成及びそれに基づく読み易い本分の提供-整版本を底本にして、上記調査の上の善本との校異を付す予定で、今年度は校訂方針の検討をしつつ、巻6など一部の翻刻を始めた。
|
Research Products
(2 results)