1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05610389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 光規 大阪大学, 言語文学部, 教授 (60034584)
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Keywords | エリザベス朝英語散文 / 初期近代英語 / 分詞構文 / コーパス言語学 / トマス・デロニ- / トマス・ナッシュ / フィリップ・シドニー / 英語史 |
Research Abstract |
Nashe,Deloney,Lylyの分析(平成3-4年度)に続いて、本年度はSidneyのコーパスを仕上げ、各種の検索を行った。具体的には、コーパスに現れる分分詞構文分析に必要な用例のデータを約40項目に絞って入力し、様々な検索を行った。 この研究の目的の一つは、コンピュータに専門的な知識のない英語研究者にも自力ですべての作業が行えるような形で、以上のような調査をパソコンを用いて能率よく行うための方法を探ることである。そのため、エディタ(Mifes)のプログラム言語(Mil)を用いて、テキスト加工用に多数のプログラム作成・改良した。 作製したデータベースを利用した検索結果で重要と思われるのは、1.シドニーの英語においても、他の3作家におけると同様、分詞構文の使用されている文の語数が使用されていない文のそれより著しく大きいことである。これは、分詞構文の本質を考える上で示唆的であると思われる。2.文頭の不定詞の副詞用法との比較で分詞構文の文体的特色を探った。即ち、前位分詞構文で分詞句の意味上の主語が表されてないものについて、談話文法的視点から、直前文との関係を調べた結果、(1)分詞の意味上の主語は、直前文の主節または従属節の主語と一致する、あるいは(2)文脈から自明、文の話者、パラグラフの主題と一致するこのが多いことが分かった。このことから、調査した作家において分詞構文は描写のすべき出来事を混乱させることなく、効率的に、しかも勢いをつけながら物語ることを可能にさせる有効な手段となっていると言えよう。(直前文との関係についてはデロニ-のデータを例として報告した) 今後の予定:調査した4作家の作品に加えてヘルシンキコーパス他からデータを補強し、多様なジャンルの散文を同様に分析して、共時的研究に対する通時的位置づけを補強したい。
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