1993 Fiscal Year Annual Research Report
中英語における迂言的助動詞GANの意味・用法に関する実証的研究
Project/Area Number |
05610393
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田島 松二 九州大学, 言語文化部, 教授 (10001819)
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Keywords | 中英語 / 中世スコットランド語 / シンタックス / 迂言的助動詞 / 英語史 |
Research Abstract |
主として中英語にしか見られない迂言的動詞GAN(現代英語の'did'に相当)の意味・用法に関する全容を解明すべく本年度は次のことを行った。 1.数年来継続中の本研究に必要な中英語・中世スコットランド語文献(テキスト)及びganに関する研究文献(著書・論文等)の調査収集はほぼ終了した。今年度新たに入手したテキストは、我が国では比較的入手困難な中世スコットランド語の文献8点を含む25点、それに研究文献17点である。 2.これまで入手した文献(テキスト)のうち本年度はほぼ50点の調査を完了した。とりわけ特異な用法の見られるスコットランド語関係の文献解読はほぼ終了した。 3.最終目標は約150点の韻文及び散文テキストを調査することであるが、これで全計画の8割は終了したことになる。残りは今後継続する 4.最終的な成果は2、3年後公刊予定の著書(モノグラフ)で発表するが、現時点でも数々興味深い事実が明らかになっている。例えば、この助動詞ganは1200年頃英語に登場するが、1600年頃にはほぼ完全に姿を消し、その役割は迂言的助動詞do didに取って代わられたこと、北部方言及びスコットランド方言では冒頭の[g]が[k]に音韻交替し、can或いはconの形で現れること、用法的には主として後続の不定詞を脚韻の位置に置くために使われたこと、などである。
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