1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05620005
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 護也 広島大学, 総合科学部, 教授 (80034594)
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Keywords | 景観保護 / 条例 / 法社会学 |
Research Abstract |
今年度行った研究によって得られた知見は、次の通りである。 1.近年、景観保護のための自治体の取り組み--条例・要綱・指針等による--が目立つが、そのいずれにおいても、景観保全政策の開発政策に対する優先性を明記するものとはなっていない--この点にこそ景観保護制度としての最大の弱点がある。 2.実効ある景観保護のためには、次の観点が最小限必要であるように思われる(順不同)。 (1)土地のリゾート的利用や各種公共用的利用においても環境・景観保全の開発に対する優先性の原則を承認すること、「景観との調和に配慮」の調和論では不十分である。 (2)自然景観と歴史的景観は「保全」が基本で「形成」は副次的とすべきであり、「創造」概念は都市景観について語り得るにすぎないのではないか、景観の「創造」とか「形成」の名目の下に自然環境や歴史的景観等が破壊される恐れがある。 (3)景観対策を実効あるものにするためには開発行為の届出制、場合によっては許可制を採用することが必要である。 (4)自然公園など別の目的から指定されている地区・地域も重ねて景観保全対策の対象とする必要がある。 (5)景観保全施策は埋立・ウオーターフロント開発や道路・橋梁建設など、行政や第三セクターのトップレベルで判断・実施される開発行為に対しても実効あるものでなくてはならない。
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