1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05620019
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
稲葉 馨 法政大学, 法学部, 教授 (10125502)
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Keywords | 国家行政組織法 / 規格法 / 基準法 / 行政運営法 / 行政機関 / 行政機関の長の権限 |
Research Abstract |
【国家行政組織法の基本的性格に関する考察】 国家行政組織法(昭和23年法律第120号)の性格については、従来、内閣の統轄にある行政組織に関する「規格法」であり、「基準法」であるとされてきた。それは、この行政組織のために置かれる国の行政機関およびその内部部局等の種類・名称を厳密に規格化すると共に、同法自体が行政機関の設置根拠となるのではなく、同法に準拠して個別的な行政機関設置法令が制定されなければならない、ということを意味している。同法の、このような性格付け自体は誤りではないが、なお次のような点で保留・補足・修正がなされなければならず、同法をより多角的な視点から把握する必要がある。 (1)「規格化」という点からみると、なお不十分なところがある(特に、地方支分部局のほか、昭和58年改正で一定程度整理されたものの、いわゆる「付属機関」について)。 (2)「基準法」としての実効性を確保するためには、規格化の程度について慎重な判断を必要とする。あまりの画一化は、個別設置法との齟齬をもたらすこととなり、かえって「基準」性を喪失することにもつながる(昭和32年行組法改正の経緯をみよ)。 (3)行組法2条2項の「相互連絡・一体」条項は、行政上の職務共助・行政機関相互間の情報提供や連絡義務といった行政運営根拠規定ともされており、同法は行政運営法的な性格も有している。 (4)同法の「行政機関の長の権限」に関する諸規定(10条以下)は、特に法律に留保されているものを除き、当該権限の直接的な根拠規定といえるものであり、この点で同法は、共通的権限に関する根拠法ともいえる。 (5)立法実務上、行政機関内部部局設置の政令への委任は、個別設置法律ではなく行組法自信によってなされており、この点で同法は、授権法的性格をもっている。
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