1993 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会国家における国家関与の基礎と限界に関する総合的研究
Project/Area Number |
05620020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大須賀 明 早稲田大学, 法学部, 教授 (80063593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 博史 早稲田大学, 社会科学部, 専任講師 (10218183)
今関 源成 早稲田大学, 法学部, 助教授 (90147942)
後藤 光男 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (70170470)
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Keywords | 社会国家 / 福祉国家 / 現代国家 / 国家関与 / 社会権 |
Research Abstract |
本研究は、現代国家を「社会国家」という視点から見つめなおし、社会政策の次元と個人の自由に対する保護の次元の両者を総合する形で、国家が重層的に人間の自由と人間性を実現するために行う社会国家の積極的関与を研究対象としてきた。その際、本研究の目的は、こうした国家の関与が憲法上必要な場合、許される場合、許されない場合を識別する基準を現実に展開される国家関与の実務との関係において析出することに置かれている。 1993年度の共同研究で、共有すべき問題意識と視角を煮詰める作業が行われ、ある程度の成果を見るとともに、分担して進める個別領域における研究に関しても、各自でそれぞれの進展が見られ、共同研究会にその成果を反映させることができた。 そこでは、この共同研究で道具概念として用いる「社会国家」という視点の必要性が一層強い形で意識されている。この点に関しては、当初予想されたよりも広い範囲で、個人の自由と社会国家の相互依存関係・緊張関係が存在している状況が認識でき、現在の問題設定の有効性が確認できた。こうした緊張関係の中にあって調整のための理論的指針を探る作業に関しては、現在鋭意取り組み中である。ただ、問題の広がりがかなりの範囲に及ぶことが確認できた現段階では、個別の実務領域の中から帰納的にそうした指針を引き出す作業よりも、理論面に重点をある程度移して、思想的文脈に問題を位置づけて、社会国家に対応した人権理論・国家理論の構築という包括的な規範論を目指す方向性も、共同研究における議論の中には現れてきている。
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