1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05630044
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
國方 敬司 山形大学, 人文学部, 教授 (70143724)
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Keywords | 近世 / イギリス / 農業 / 自然 / 環境 / ロック / ピューリタニズム / 所有権 |
Research Abstract |
1.16世紀以降、農法に関する関心が高まったが、17世紀前半にはハートリブやマーカムが盛んに新しい農法などを導入・提唱したが、そこには、中世とは異なる自然観がみられた。この転換については、ピューリタニズムの影響が多大であった。 2.ジョン・シンクレアやアーサー・ヤングの主導するThe Board of Agricultureのもとですすめられた州ごとの農業慣行・農業事情の調査報告書は、自然環境と農法との結びつきを詳細に分析した宝庫ではあるが、そこにおける調査方法ならびに調査項目は一様ではなく、かなりのばらつきをみせていた。この点は、ウィリアム・マーシァルが糾弾しているところである。しかし、こうした調査が実施されること自体地域ごとの多様性を前提にしているわけであり、本研究にとっても、この調査については、どのような種類の環境認識があったのかを知るための手がかりとして重視せねばならない。また、マーシァルはどのような環境認識に依拠してこうした調査の総括を試みたかを検討すべきである、と考えられる。 3.当時の農書および二次文献を読みすすめていくなかで、イギリス近世の土地所有の思想的基盤とピューリタニズムとのかかわりが、きわめて重要な意味をもっていたことが判明した。とりわけ、新たに移り住もうとした地に先住民族がいたアメリカ・ピューリタンはその土地所有の正当性を確証するために精力を傾けたが、これはジョン・ロックの「所有権」論に深甚なる影響を及ぼした。
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