1993 Fiscal Year Annual Research Report
産業革命期における鉄道建設と経済界(ブルジョアジー)の対応-京浜・京阪神・中京・北九州地区を中心に-
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05630049
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
老川 慶喜 立教大学, 経済学部, 教授 (10168841)
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Keywords | 産業革命 / 鉄道 / 商業会議所 / 地域経済 / 経済界 |
Research Abstract |
本年度は、鉄道および商業会議所関係資料の調査と整理に重点を於いて研究を進めた。調査した機関は山口県立文書館、大阪商工会議所図書館、東大阪市史編簒室、京都府立総合資料館、富山市立郷土博物館、滋賀県立図書館、仏教図書館、交通博物館、運輸省、国立公文書館、国立国会図書館などである。山口県立文書館、富山市立郷土博物館、滋賀県立図書館は、当初の調査機関に予定されていなかったが、資料調査を進めていくなかで、それぞれ山陽鉄道、大津商業会議所、北陸の鉄道と海運などの重要資料が所蔵されていることがわかり調査を実施した。本年度収集した資料の中で特筆すべきは、山陽鉄道、阪鶴鉄道、京都鉄道、成田鉄道の営業報告書を中心とする鉄道関係資料と大阪・京都・名古屋の商業会議所関係資料である。とくに、名古屋を中心とする中京圈の商品流通について研究はこれまでほとんどなかっただけに、今後さらに重点的に資料調査を進めていきたい。また、京阪神地方と北陸地方とが産業革命期においてもなおかなり緊密な経済関係を保っていたことも新知見としてあげることができる。富山市郷土博物館で発見した「宮城家文書」は、北陸地方と京阪神地方との経済関係をみていくうえで参考になろう。そのほか、今年度『東京経済雑誌』の鉄道関係記事を収集した。 本研究の課題に即した本格的な論文を作成するにはもう少し資料の整理と分析が必要であるが、今年度はそのための準備作業として「鉄道技術者・佐分利一嗣の鉄道政策論」および「産業革命期の鉄道問題と『東京経済雑誌』の2本の論文を執筆した。今年度の資料調査と研究による一応の結論は、産業資本の鉄道建設に対する対応の仕方は地域経済の有様に規定されてきわめて多様で、従来のように官設か私設かという議論ではとうてい当時の実態を把握できないということである。したがって、さらに緻密な資料調査と研究が必要とされる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田中喜男編: "歴史の中の都市と村落社会" 思分閣, 450 (1994)
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[Publications] 杉原四郎編: "田中卯吉と『東京経済雑誌』" 日本経済評論社, 430 (1994)