1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05630056
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Research Institution | HITOTSUBASHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
釜江 廣志 一橋大学, 商学部, 教授 (60091542)
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Keywords | 期待インフレ率 / Fisher仮説 / Darby仮説 / カルマン・フィルター |
Research Abstract |
平成6年度においては、利子率の期間構造と利子率と期待インフレ率の関係を分析することを通して、最近のわが国における長期国債の流通市場の構造と効率性を解明することを試みた。具体的には、ベクトル値自己回帰モデル(VAR)でモデルを定式化し、計測の方法としては、最近急展開を見せている共和分(cointegration)を用いる方法のうち、Engle and Granger(Econometrica,1987)の2step法を拡張して、多変数のVARを取り扱いうるようにしたJohansen and Juselius(Oxford Bulletin,1990)などの方法を用いてテストを行い、1977年の市場の実質的な成立時から最近時までの期間における国債流通市場における利子率の期間構造について、インフレが予想されるとき、期待インフレ率の変化分に等しいだけ利子率が変化するとのFisher仮説が成立するか否か、成立しないならその代替的な仮説のうちMundell-Tobin仮説とDarby-Feldstein仮説のいずれがより適切であるかのテストを行なった。 観察不可能な期待インフレ率をカルマン・フィルターを使って推計した上でのテストによれば、1977年から93年半ばまでの期間では国債利回りにはFisher仮説は成り立たないことが示された。また、暫定的な推定結果によれば、期待インフレ率の変化分よりも大幅に利子率が変化するとのDarby-Feldstein仮説が一部の残存期間の利回りについて成立した。
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