1995 Fiscal Year Annual Research Report
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05630080
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
市村 昭三 福岡大学, 商学部, 教授 (30037113)
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Keywords | 自社株式取得 / ダッチ・オ-クション / 企業財務 / シグナリング理論 / 従業員持株制度 / 希薄化 / テンダー・オッファー / フリー・キャッシュ・フロー |
Research Abstract |
本年度の研究目標は, (1)自社株式取得の方法の違いによるプレミアムの格差,実施前後の株価の動きから推察される自社株式取得の目的の多様性の研究, (2)EU諸国での実施状況と,その特質の研究。 (3)わが国においても容認されるようになった,「従業員持株制度のための自社株式取得」を,アメリカ企業の実態についての実証的検討。 (4)今までの研究成果の公刊のための整理と総括。 研究実績の概要 第一の目標に関しては,「自社株式取得の三形態のシグナリング効果の比較研究」(福岡大学商学論叢,第40巻第1号,平成7年6月)において,その主要な目的を達成することができた。 また,第三の目標に対しては,予想以上の成果を達成し,新たな展望を切り開くことができた。その研究成果は,(1)「アメリカ大規模企業における従業員持株制度の普及とその意義」(福岡大学商学論叢,第40巻第3号,平成8年3月),および「アメリカ上場企業の従業員持株制度の展開とその企業財務論的意義」(福岡大学商学論叢,第40巻第3号,平成8年5月)において展開されている。アメリカにおける自社株式取得による従業員持株制度の予想以上の展開は,アメリカ経済ないし経営制度そのものの重要な変貌(従業員福祉制度の再構築と企業の財務構造の再構,企業成果に対する従業員の新しい参加システムの確立)を孕んでいる。しかし,その全貌を解明するには,更なる研究努力が必要であることを痛感した。 第二のEU諸国での自社株式取得に関する実態については,必ずしも十分な資料を入手することができず,所期の目的を達成するにいたらなかった。 第四の「全体の研究成果の整理と総括」は,平成8年度中に終えて公刊予定である。
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[Publications] 市村昭三: "自社株式取得の三形態のジグナリング効果の比較研究" 福岡大学商学論叢. 40巻1号. 1-32 (1995)
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[Publications] 市村昭三: "アメリカ大規模企業における従業員持株制度の普及とその意義" 福岡大学商学論叢. 41-1. (1996)
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[Publications] 市村昭三: "アメリカ上場企業の従業員持株制度の展開とその企業財務論的意義" 福岡大学商学論叢. 41-3. (1996)
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[Publications] 市村昭三: "書評「会計データーと株式価値」" 企業会計(中央経済社). (1995)