1994 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の観測的宇宙論にむけた原始銀河・銀河団の進化の数値的研究
Project/Area Number |
05640312
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 靖 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20206569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 章一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80251403)
伊藤 誠 京都大学, 情報処理教育センター, 助手 (00243080)
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Keywords | 原始銀河 / 銀河団 / 観測的宇宙論 / 数値シミュレーション / 超新星 |
Research Abstract |
本研究計画は輻射過程をとりいれた宇宙の構造形成の流体力学的取り扱いを目視して、原始銀河・銀河団の形成と進化を定量的に論ずる上で必要な宇宙論的流体力学数値計算コードの開発と、それらと相補的な解析的な理論モデルの構築を目的としてきた。具体的には、以下の4つの成果を得た。(1)粒子法に基づく流体力学数値計算コードに独立時間ステップを採り入れるとともに、ガスと輻射の相互作用にかかわる物理過程を採り入れたコードを完成させた(伊藤、須藤)。(2)銀河・銀河団に対応するダ-クハロ-の重力的な形成率をあたえる公式を解析的に導いた。さらに、それをもとにして球対称モデルを仮定して個々の銀河団から熱制動輻射によって放出されるX線のスペクトルを時間の関数として計算し、それらの重ね合わせとしてX線背景輻射のスペクトルに対する銀河団の寄与を求める理論的枠組を構築することに成功した(北山哲氏と須藤の共同研究)。(3)ハッブル宇宙望遠鏡が乙女座銀河団の銀河にセファイド型変光星を発見したことから、ハッブル定数が比較的大きな値をとることが確実となってきた。このことは、原始銀河・銀河団の進化を考える上で最も重要となる宇宙モデルのパラメータに対して重大な意味を持つ。そこで、我々の近傍宇宙に対して観測されたハッブル定数がどの程度宇宙全体の平均値と一致するのかと言う確率的な考察を行った。その結果、局所的なハッブル定数の観測から得られる真のハッブル定数の値に対する下限値を解析的に求める事に成功した(稲垣祐一郎氏、杉之原立史氏と須藤の共同研究)。(4)超新星爆発における自転の影響を調べ、それに伴う重力波の波形を計算した。(佐藤勝彦氏と山田の共同研究)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松原隆彦.須藤靖: "Scale-dependense at the three-point correlation functions: model predictions and redshift-space contamination" The Astrophysical Journal. 420. 497-503 (1994)
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[Publications] 千葉尚志,杉山直,須藤靖: "Microwave backgrownd anisotropies in primeval isocurvature baryon models: contraints on the cosmological parameters" The Astrophysical Journal. 429. 427-433 (1994)
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[Publications] 上田晴彦,嶋作一大,杉之原立史,須藤靖: "Velocity functions and angular momentum galaxies and clusters in spatially flat cold dark matter universes" Publications of the Astronomical Society of Japan. 46. 319-333 (1994)
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[Publications] 渡辺卓也,松原隆彦,須藤靖: "Origin of cluster-clster correlation functions in biased structure formation scenarias" The Astrophysical Journal. 432. 17-30 (1994)
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[Publications] 清水鉄也,山田章一,佐藤勝彦: "Axesymnetric neutrino radiation and the mechanism of supernova explosions" The Astrophysical Journal. 432. L119-L122 (1994)
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[Publications] 山田章一,佐藤勝彦: "Numerical study of rotating core collapse in supernova explosions" The Astrophysical Journal. 434. 268-276 (1994)