1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640314
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 万里子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50185873)
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Keywords | 新星 / 星の内部構造 / 星の質量放出 |
Research Abstract |
新星は近接連星系のなかの白色矮星の表面で水素ガスが核爆発をおこすために生じる現象である。ここでは膨らんだガスの構造変化を定常解の系列で追いかけ、新星の光度曲線を理論的に再現することに初めて成功した。理論的な光度曲線は白色矮星の重さやガスの元素組成によるので、観測データとくらべるとこれらのパラメータが決定できる。例としてはくちょう座の新星(1978年)について詳しいケーススタデイを行ない、可視光と紫外線の観測データと同時にあう論理光度曲線は、白色矮星の重さが太陽の1.0倍のものであうことをつきとめた。さらに観測された実視等級と理論の絶対等級の比較から、この星までの距離が約3kpcであることもわかった。 光度曲線を理論的に再現できるということは、新星の質量放出は基本的には連続光の加速によるもので、その他の加速メカニズムは副次的だということを意味する。連星系の相手の星によるガスの加速は、新星のタイムスケールを短くはしないが、低質量白色矮星の光度曲線には少し影響することがわかった。また光度曲線は炭素や酸素などの元素組成にはあまりよらないが、種族による違いはあることがわかった。白色矮星の質量の決定精度は0.05太陽質量であり従来の方法よりも精度がよい。 このようにこの研究は、新星の光度曲線解析という新しい分野をきりひらくものである。これは白色矮星の質量と連星系までの距離を求める新しい方法を提案したことになり、連星系の進化の研究に非常に役立つものである。
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