1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640314
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 万里子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50185873)
|
Keywords | 新星 / 星の内部構造 / 星の質量放出 |
Research Abstract |
まず本研究の基礎をなす新星の光度曲線解析の方法と質量放出解の性質、および古典新星への応用は論文として出版された。この光度曲線解析は古典新星ばかりか、おそい新星や回帰新星へも応用ができるので、今年度は回帰新星の光度曲線解析を中心に研究を進めた。回帰新星は同じ星が何度も爆発している新星であり、白色矮星の質量はかなり重いと推定されていたが、正確なことは今までわかっていなかった。そこで4つの回帰新星に着いて可視光の光度曲線解析をすすめたところ、チャンドラセカ-ル質量に非常に近い値が求まった。この4つはスペクトルの性質や伴星のタイプがそれぞれ異なる回帰新星であるにもかかわらず、基本的には非常に重い白色矮星上での核爆発によりガスが飛び散るモデルで説明できることがわかった。ほとんど同じ重さの白色矮星がかなり割合で存在することはIa型新星との関連を強く示唆するものである。またTCrBについては爆発の原因が熱核反応ではないという説も出されていたが、この研究で爆発の原因はやはり熱核反応であることが示された。15EA02:光度曲線解析を正確にするためには可視光ばかりではなく紫外線の光度曲線も同時に合わせる必要がある。正確な高度曲線を求めるためには光球付近の構造を黒体ふく射で近似したのでは不十分であり、非熱平衡での線遷移や広がった大気の効果をとりいれて詳しく解く必要があることがわかった。大気の詳しい扱いを質量放出解のなかに取り入れることは容易ではないが、共同研究を計画して来年度中には結果を出す予定である。これができれば紫外線の光度曲線ばかりか古典新星によくみられる複雑なスペクトルの時間変化の特徴を説明できるはずである。
|