1993 Fiscal Year Annual Research Report
重力レンズによるダークマターの分布と宇宙論的パラメータの決定
Project/Area Number |
05640318
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
二間瀬 敏史 弘前大学, 理学部, 教授 (20209141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 真寿 弘前大学, 理学部, 講師 (30204358)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 一般相対論 / 非一様宇宙モデル / 距離-赤方偏移関係 / 重力レンズ |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の通りである。 1.観測的宇宙論において観測結果を解釈するためには、先ず宇宙における非線形密度分布を一般相対論の枠組みで記述しなければならない。このためにポスト・ニュートン近似を宇宙論的状況に拡張した近似法を開発した。従来の近似法で取り扱うことのできる状況は、密度揺らぎの大きさとスケールにある制限があったが、今回の近似法ではこの制限の必要がなくなった。 2.上記の近似法に基づいて、現実的な非一様時空での光の伝播を研究した。これによって宇宙論的観測の解釈に用いるべき距離と赤方偏移の関係をさらに詳しく研究した。特に物質分布に相関がある場合にも、距離-赤方偏移関係はあまりその影響を受けないことが数値計算の結果求められた。これは今後さらに詳しく検討する必要がある。 3.重力レンズを支配する方程式の定式化を、一般相対論の枠組みの中で矛盾なく行った。これによって、従来用いられてきた方程式が実際に宇宙論的状況で妥当であるための条件を示すことができた。レンズ物体が点粒子のような簡単な場合に、この条件が実際に満たされることを示し、さらにより一般の物質分布の場合にこの条件がなりたつかどうかを数値計算中である。 4.重力レンズの数値シュミレーションを行った。このために先ず与えられた3次元的な物質分布から重力ポテンシャルを数値的に高速で求める数値コードを開発した。このコードを用いてダークマターの大域的な分布が重力レンズに及ぼす影響を調べる計算を始めた。
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[Publications] P.Hogan: "Some high frequency Spherical gravitational waves" Journal of Mathematical Physics. 34. 154-169 (1993)
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[Publications] T.Futamase: "General Relativistic Description of a Realistic Inhomogeneous Universe" Pvegwess of Theoretical Physics. 89. 581-597 (1993)
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[Publications] M.Kasai: "A treatment of general relativistic affects in quantum interference" Physics Later A. 182. 330-334 (1993)
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[Publications] M.Kasai: "Inhomogeneous cosmological models which are homogeneous and isotropic on average" Physical Peview D. 47. 3214-3221 (1993)