1993 Fiscal Year Annual Research Report
準弾性散乱による高励起高運動量状態での集団運動および有効相互作用の研究
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05640328
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市村 宗武 東京大学, 教養学部, 教授 (10012436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川東 健 神奈川大学, 理学部, 助手 (70231272)
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Keywords | スピン・アイソスピン・モード / 応答関数 / 準弾性散乱 / 有効相互作用 / ランダウ・ミグダル・バラメータ / RPA / DWIA / 偏極移行量 |
Research Abstract |
準弾性散乱領域のスピン・アイソスピン・モードの励起について、次のような理論的解析を行った。 a)スピン・アイソスピン・モードに対する応答関数が、Δ粒子励起によってどの様な変更を受けるか、それがNh-Δh間相互作用にどの様に依存するか調べた。 そのため、相互作用を規定するLandau-Migdal parameterに対するg′_<NN>=g′_<NΔ>=g′_<ΔΔ>という仮定(universality ansatz)に依らずに、核子とΔから成る有限核に対する直交条件付き連続RPA法(OCRPA)定式化し、応答函数を計算した。 これらのg′を独立に変えて計算を行い、応答函数のエネルギースペクトルが、準弾性散乱領域においても、Δの自由度の導入により大きな影響を受ける事、g′_<NN>だけでなくg′_<NΔ>にも強く依存している事、したがって、定量的解析には、g′_<NΔ>の値が極めて重要である事を示した。また、ρメソンの質量依存性も調べた。その結果を、(e,e′)散乱で得られたアイソベクトルスピン横波応答函数と比較した。 b)一方、(p,n)のようなハドロン反応の解析には、これまで歪曲波インパルス近似(DWIA)計算を、universality ansatzの下でのOCRPAと併せて行ってきた。 今年度は、従来取り扱えなかった、核子-核子散乱t-行列のスピンスカラー項とスピン軌道項を含め、他の項との干渉のまで入れて計算できるようにした。その結果、今まで出来なかったAnalyzing Powerの信頼性ある計算が佳能となり、LAMPFやRCNPのデータも再現できた。偏極移行量から求められる縦波/横波応答の比は、核内相互作用によって大きく変わり、その決定に有用である。 しかしながら、断面積のエネルギースペクトルは、改善されたものの依然として過小評価をしており、この改善にはuniversality ansatzを用いない計算が望まれ、次年度の目標となる。
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[Publications] A.Itabashi,K.Aizawa M.Ichimura: "Quasi-Elastic d(p^^→,n^^→)2p Reaction and Spin Response Functions of the Deuteron" Prog.Theoret.Phys.91. 69-83 (1994)
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[Publications] 市村宗武・坂田文彦・松柳研一: "岩波講座 現代の物理学「原子核の理論」" 岩波書店, 282 (1993)