1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640329
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 英雄 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (40134647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 顕 東京大学, 宇宙科学研究所・惑星研究系, 助教授 (70173482)
山越 和雄 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (00025355)
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Keywords | 惑星探査 / 搭載機器 / 検出器 / 海外共同研究 |
Research Abstract |
本研究は1998年(当初は1996年の予定であったが、ロケットの開発の遅れのため、2年延期された)打ち上げ予定の、我が国初の惑星探査衛星PLANET-Bに搭載される事が正式に決定した、宇宙塵検出器MDC(Mars Dust Counter)を製作する事を目的としている。この検出器のベースとなるものは1990年に打ち上げられた工学実験衛星「ひてん」に搭載されたMDC(Munich Dust Counter)である。この検出器の原理はイオン・チェンバーである。信号の立ち上がり時間、ピークの高さと衝突粒子の質量・速度とに関しては室内実験により、電子・イオンそれぞれについて関係式が求められており、それぞれのチャンネルから衝突粒子の質量・速度に関するデータが得られるため信頼度が高くなる。このような簡単な原理に基づいた検出器であるにもかかわらず、質の高いデータを得国際的に高い評価を得た。このMDCの唯一の弱点は角度分解能であり、この点を改良するために今回の申請を行なった。具体的には底面を抵抗性電極を蒸着したピエゾフィルムをはり、入口部のグリッドワイヤーとのコインシデンスを取る事により角度分解能を5倍程度向上させると言うものであった。この申請と並行して東京大学に申請していた学術研究奨励資金によりMDCを開発したドイツへの派遣が認められ、8月21日より10月19日までの2ケ月間、主としてミュンヘン工科大学(TUM)で仕事を行なった。TUMでは「ひてん」に搭載されたMDCのデータ中に地上での実験では得られたことのない信号の原因を突き止めるべく、MDCのフライトスペアを用いてハイデルベルグにあるマックス・プランク研究所の静電型ダスト加速器を用いた実験を計画していた。この準備過程においてパーソナルコンピュータを用いた回路・プリント基板設計、プリント基板・回路製作まで体験しドイツ人の持つ合理性を実体験し我々グループの後進性を痛感した。帰国後は可能な限りコンピュータ化を行なうための準備を進めて来ている。MDCの改良に関してはピエゾフィルムに炭素を蒸着し、抵抗性を持たせる事から始めた。炭素蒸着を行なった面の両端に電極を取り付けて信号を取り出す。この信号をデジタル・オシロスコープに入力し、両端の信号と粒子の衝突位置との間に相関があるかの確認を行なう。現在までのところ蒸着膜の厚さの最適値を求めるまでにいたらず、また電極の取付方法についても最善の方法が見つかっておらず、まだ研究の途上にある。
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