1994 Fiscal Year Annual Research Report
ウィークボソン対生成過程における重いニュートリノの効果
Project/Area Number |
05640336
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
菅本 晶夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (70132686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 清 秋田短期大学, 商経科, 助教授 (80202117)
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Keywords | 標準模型を越える模型 / ニュートリノ質量 / ウィークボソン対生成 / バリオン非対称 |
Research Abstract |
現在素粒子物理学の種々の実験結果は、ワインバークとサラムによって提唱された標準模型によって良く説明されているが、この模型に含まれる数多くのパラメータを予言するためには、標準模型を越える機構が必要である。本研究の目的は、ニュートリノに質量をもたせる、標準模型を越えた機構の影響が「輻射補正」を通じてどのように現れるかを調べる事にある。昨年度はこれからの超大型加速器LEPII、JLC等で観測されるであろう弱い相互作用を媒介するウィークボソンWやZの対生成を用いて、ニュートリノの質量の起源を探った。 本年度研究代表者は院生山口あづさと共に、ニュートリノ質量生成機構に関連する宇宙物理からの制限、特にニュートリノを用いたバリオン生成問題を相転移の時間発展をダイナミカルに扱って考察した。そもそもニュートリノに質量をもたせる「シ-ソ-機構」はマヨラナ質量項というレプトン数保存を破る相互作用をもちいていた。従って宇宙の冷却に伴う相転移によってこの質量項が生じたとすると、相転移の進行中にノーマルな真空中にスーパーな真空の泡(バブル)が多数発生した非平衡状態が現れて、レプトン数の生成が期待出来る。レプトン数の生成はスファレロン遷移によってバリオン数の生成をもたらすので、宇宙のバリオン生成問題と密接に関係している。われわれはレプトン数発生確率の詳しい計算を実行すると共に、非平衡状態の時間発展を扱う最近の物性理論を応用することにより、「相転移ダイナミックス」がバリオン生成問題に大きく影響することを示した。 又、研究代表者は、院生斎藤智美、研究員丸井美保、香月保彦等と共同して、本研究の主テーマである電子-陽電子衝突によるウィークボソン対生成過程において、CPの破れを観測すべく1つの興味ある模型(ベクトル型キォ-クを持つ模型)を調べた。この問題でも昨年度われわれが用いた計算方法が有効に働く事を示した。
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[Publications] Azusa Yamaguchi: "Electroweak Baryogenesis and the Phase Transition Dynamics" Moderm Physics Letters A. 9. 2599-2610 (1994)
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[Publications] Akio Sugamoto: "Baryon Asymmtry:Evidence of CP Vidation and Phase Trsnsition in the early waiverse?" 23rd INS Symposium Proceedings. (発表予定).