1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640344
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 研三 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (90127978)
|
Keywords | 超重力理論 / ホリゾンタル対称性 / ノンコンパクト群 / 超対称性 |
Research Abstract |
前年度の研究により、素粒子の世代を支配する対称性として、ノンコンパクト群に基づいたホリゾンタル対称性が、超重力理論において重要な役割を果たす可能性が認識されたが、本年度は、その最も単純な可能性である SU(1,1)のホリゾンタル対称性に基づいて、具体的模型の構築とその模型が与える物理的内容の検討を進めた。ホリゾンタル対称性は超重力理論の理論構造に極めて強い制約を要求する。クオーク、レブトン及びヒッグスはその無限次元ユニタリー表現に属するが、SU(1,1)の自発的破れを引き起こす場は非ユニタリー表現に属し、スーパー・ポテンシャルやケーラー・ポテンシャルの中でのそれらの結合は強く制限される。これらの制限は、超対称性の要請とあいまって、模型の持ち得る可能な構造を強く規定するが、結果的にはそれらは顕著な特性を持った模型の構築に導く。自然界における左右非対称性、CP対称性の破れ、カイラルに実現された3世代のクオークやレプトンとその階層的な湯川相互作用等、低エネルギー領域の素粒子の世界に特徴的に実現されている諸特性を、ホリゾンタル対称性の自発的破れの帰結として矛盾なく統一的に理解することを可能にする。特にその際自然が超対称性を持っていることが本質的に重要であり、その理論的妥当性をさらに高めることとなった。これまで20数年に渡って多くの研究者によって追究されてきた、左右非対称性やCP対称性の破れを自発的対称性の破れとして理解する試みに対して、本研究は大きなステップを与えるものであり、今後のこの方向の研究の指針になると思われる。この研究はN=1の超対称性に基づいているが、模型の基本的構造は、より高い拡張された超対称性を持った理論の中での実現を示唆しており、この方向での研究の進展を現在目指している。
|
Research Products
(1 results)