1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640344
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 研三 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (90127978)
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Keywords | 超対称標準模型 / 超重力理論 / ホリゾンタル対称性 / ノン・コンパクト群 |
Research Abstract |
前年度までの研究を通して、ノン・コンパクトなゲージ群に基づいたホリゾンタル対称性が、超重力理論に基づいた素粒子の統一理論の基本的構造を規定する極めて重要な役割を果たすことが明らかになった。今年度はまず一番単純なSU(1,1)の対称性に基づいた模型の詳細な現象論的帰結の検討を進めた。ミニマル超対称標準模型の物質場をSU(1,1)に基づいて無限次元表現へ拡張し、またこの対称性を破りクオークとレブトンにカイラルな構造を生じさせるのに必要な有限次元表現の場ΨとΦを導入した最小の模型は、大局的には望ましい特性を備えているが、詳細な現象論的観点から見ると、いわゆるμ問題と呼ばれるヒッグス場の超対称な質量項を対称性と矛盾なく導出することが困難であり、何らかの拡張が求められる。この問題は標準模型のゲージ対称性SU(3)×SU(2)×U(1)に関してシングレットの場を導入することによって解決できるが、その代償として模型にかなりの任意性が生じる。統一的観点からのこれらの問題への理解を目指して、SU(1,1)とSU(3)×SU(2)×U(1)をノンコンパクトな大統一ゲージ群で統一する可能性を試みた。これは極めて興味深い試みであり、対称性の破れに伴って実現される低エネルギー領域のゲージ対称性と、そこにカイラルに実現される物質場の世代数やそれぞれの量子数が互いに強く相関を持つことになる。また自発的破れを通してカイラルな世界を実現するベクトルライクなホリゾンタル対称性は、その背後にN≧2の超重力理論の拡張された超対称性の存在を強く示唆しており、その自己同形写像群そのものである可能性もある。スーパー・ポテンシャルやケーラー・ポテンシャルは拡張された超対称性によって強く規定されるので、今後のこの方向の検討は、素粒子の統一理論としての超重力理論の理論的構造の理解に大きな進展を与え得るものと予想される。
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Research Products
(1 results)