1993 Fiscal Year Annual Research Report
動的クォークの効果をとり入れた格子色力学によるハドロン行列要素の計算
Project/Area Number |
05640363
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
大川 正典 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (00168874)
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Keywords | 格子色力学 / ハドロン行列要素 |
Research Abstract |
ハドロンの行列要素を動的クォークの効果をとり入れて計算するには、ハドロン状態のトポロジカルな性質についての理解が不可欠である。トポロジカルな性質はカイラル対称性を通じてクォークの質量と大きく関係していると考えられている。カイラル対称性を記述するのに便利なKSフェルミオンを用いてトポロジカル帯磁率を計算し、トポロジカルな励起が動的クォークによって及ぼされる効果について研究した。つぎに、ハドロンの行列要素の中で計算が最も簡単なpi中間子の崩壊定数及びK中間子のバッグ定数を、動的クォークの効果をとり入れて計算した。これらの物理量に対する動的クォークの効果は理論のスケールの再規格化によって取り入れられることがわかり、pi中間子の崩壊定数は実験値と、またK中間子のバッグ定数はQCD和則からの予言値とそれぞれ一致する値を得ることができた。これら2つの行列要素を計算するには、クォークの2体相関関数を計算するだけでよいが、これ以外のハドロンの行列要素を計算するには4体以上のクォークの多体相関関数を計算する必要がある。このための計算法の開発を行い、4体相関関数の一般的計算方法を世界に先駆けて確立した。この方法をpi中間子の散乱を特徴づける最も基本的な物理量である散乱長の計算に応用し、I=0および2両チャネルにおいてカイラル摂動理論と矛盾しない答を得た。平成6年度以降も、この方法を更に拡張し研究を進めて行く。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Kuramashi: "Topological susceptibility in lattice QCD with dynamical quarks" Physics Letters B. 313. 425-429 (1993)
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[Publications] N.Ishizuka: "Viability of Perturbative Renormalization Factors in Lattice QCD Calculation of the K^0-〓^0 Mixing Matrix" Physical Review Letters. 71. 24-26 (1993)
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[Publications] Y.Kuramashi: "Lattice QCD Calculation of Full Pion Scattering Lengths" Physical Review Letters. 71. 2387-2390 (1993)