1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640368
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 武生 東北大学, 理学部, 教授 (10004342)
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Keywords | フォトクロミック材料 / サリチルデンアニリン / 結晶 / プロトン移動 / 熱的活性化エネルギー |
Research Abstract |
昨年度はプロトン移動形フォトクロミック材料であるサリチルデンアニリンの結晶成長と偏光依存性について研究してきたが、今年度は主として結晶の活性化エネルギーを求め、マトリックス中の分子のそれらと比較検討した。サリチルデンアニリンは初めエノールの状態にあるが紫外光を照射するとケト状態に変態する。その残柄として中間状態としてのケト、即ち単にプロトンが酸素から窒素へと移動した状態が存在するといわれているが、その状態が了熱的により高い励起状態をへて安定なケト状態になる。その際に窒素の結合軸の回りに回転すると考えられている。その際の熱的活性化エネルギーを求めると24meVとなった。逆にケト状態に可視光を照射するとエノール状態に戻る。その際の熱的活性化エネルギーは17meVとなった。他方基底状態にある結晶を熱だけでエノール状態に戻すための活性化エネルギーは1〜2×10^3meVと大きくなった。これらの値はPMMAポリマー中の分子にくらべて大きく、ジベンジル中の分子よりは非常に小さい。このことは分子のまわりのいわゆるかご効果によると考えるとよく説明できる。即ち結晶の場合にはジベンジル結晶と比較して分子のまわりの空間が大きく、分子の構造変化が制限されにくい。このことが熱的活性化エネルギーの値に反映していると考えられる。
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