1993 Fiscal Year Annual Research Report
電子励起原子移動を利用した準安定状態の安定化機構の第一原理シミュレーション
Project/Area Number |
05640369
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 博 東北大学, 理学部, 助手 (30133929)
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Keywords | 電子励起原子移動 / 第一原理分子動力学 / 水素化アモルファスシリコン / 第一原理計算 |
Research Abstract |
基底状態では全ての原子に働く力は零になっているが、光によって電子系を励起すると原子に力が働いて原子移動が生じる。このような例として、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を取り上げる。a-Si:Hは準安定状態にあり、光励起によって原子移動が生じ、ダングリングボンドによる欠陥がつくられる。第一原理分子動力学法を用いてシリコン64原子、水素8原子からなるスーパーセル法により水素化アモルファスシリコンを作製した。計算結果から、(1)Si-H-Siの3中心結合とSi-Hの結合のみが計算から観測されており、Si-H2は見られない。(2)大半の水素はシリコンのダングリングボンドを終端している。ギャップ中に深い不純物として存在していたダングリングボンドが水素と強く結合することによって価電子帯中に引き込まれ、深い不純物準位が消失する。(3)Si-H-Siの3中心結合はH原子を中心に蝶番のように10度程度回転しても全エネルギーはほとんど変化しないので、これによってアモルファス中では局所秩序をもつ平均4配位のシリコンを小さいひずみによってつなぎ構造を柔らかくする役目をしている。また、これらは負の電子相関系となって、Si-H^+-SiまたはSi-H^--Siのみが存在する。(4)水素原子が集まっている領域と、逆に水素のすくない領域が存在し、そこではダングリングボンドを持つ2種類の(sp^2的なものとsp^3的な構造を持つ)3配位のシリコンが存在する。これらの一部は負の電子相関系となっていて、D^+,とD^-に分解している。(5)また、5配位のシリコンが存在し、4配位と5配位のシリコン原子の間でボンドを時間的にやり取りしている浮遊ボンドが存在する。(6)水素原子によって終端されたダングリングボンドに帰属するシリコンとその再近接のシリコンは結合が弱く(weak bond)ならず、むしろ結合が強くなる傾向にある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] C.Kaneta,T.Sasaki,H.Katayama-Yoshida: "Effect of Carbon on Anharmonic Vibration of Cxygen in Crystalline Silicon" Proceedings of 17-th International Conference on Defetsin Semiconductors(Materials Science Forum). (印刷中). (1994)
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[Publications] N.Orita,T.Sasaki,H.Katayama-Yoshida: "Electronic Structure and Dynamics of Defectin a-Si:H by ab-imtio Molecular Dynamics" MRS Symposium Proceedings. 297. 171-176 (1994)
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[Publications] C.Kaneta,T.Sasaki,H.Katayama-Yoshida: "Impurity Vibration of Carbon-Oxygm Comploxes in Crstalline Silicon" Materials Science Forum. 117&118. 81-86 (1993)
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[Publications] H.Katayama-Yoshida: "Computational Physics and Materials Design:Application to P-type doping in ZnSe" New Functionality Materials. vol.A. 171-176 (1993)