1993 Fiscal Year Annual Research Report
四塩素亜鉛酸ルビジウム群強誘電体にみられる多軸強誘電性の研究
Project/Area Number |
05640388
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
山口 俊久 明星大学, 理工学部, 教授 (70121407)
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Keywords | 強誘電性 / 反強誘電性 / 多軸強誘電性 / 不整合-整合相転移 / 硫酸アンモニウム系強誘電体 / 四塩素亜鉛酸ルビジウム群強誘電体 / 分極反転 |
Research Abstract |
四塩素亜鉛酸ルビジウム[Rb_2ZnCl_4]群強誘電体とは,beta-K_2SO_4構造を持つA_2XY_4型の強誘電体であり,それらのほとんどは不整合-整合相転移に伴ってa軸方向に強誘電性を示す.しかし,Rb_2ZnCl_4自身は最低温相でc軸方向にも強誘電性を示す.我々は,Rb_2ZnBr_4が中間相ではb軸方向に反強誘電性を示し,更に最低温相ではc軸方向にも強誘電性を示すことを見いだした.この様に,この物質群には複数の結晶軸方向に強誘電性や反強誘電性が出現するという多軸強誘電性が見られる. 本研究において最初に注目したのはA_2XY_4型物質のうちA=Rb,K;X=Zn,Co;Y=Cl,Brの8物質である.自発電気分極の温度依存性を焦電荷法によって測定し,新にRb_2CoCl_4が最低温相でc軸方向にも強誘電性を示すことを見いだした.しかし,今までのところA=Kの4物質には多軸強誘電性は見られない.このことからこの物質群の強誘電性は,K_2ZnCl_4とK_2CoCl_4が一軸性,Rb_2ZnCl_4とRb_2CoCl_4が二軸性,Rb_2ZnBr_4とRb_2CoBr_4が三軸性と分類することができる.一方,K_2ZnBr_4とK_2CoBr_4の室温で安定な結晶構造はSr_2GeS_4構造であるが,高温で安定なbeta-K_2SO_4構造の結晶は過冷却可能で,両構造の結晶とも強誘電性を示すようである.この様な研究はRb_2MnI_4,Rb_2FeI_4,Tl_2ZnCl_4などについても行っているが、特に多軸強誘電性に関して充分なことは解っていない. 本研究費で購入した高速で高分解能なディジタル・オシロスコープを使用して、K_2ZnCl_4とRb_2ZnBr_4の試料にパルス高電界印加後,その分極反転電流の時間変化を詳細に測定した結果,特に後者ではネール点付近で分極反転の様子が顕著に変化することが見いだされた.このことから,この物質群に見られる多軸強誘電性を分極反転のメカニズム解明の観点からもさらに吟味し,解明しようとしている.
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[Publications] F.Shimizu: "Note on New Phase Transitions Observed in Rb_2MnI_4 by Differential Thermal Analysis." J.Phys.Soc.Jpn.62. 2964-2965 (1993)
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[Publications] F.Shimizu: "Phase Transitions in Rb_2BI_4(B=Mn,Fe)." Ferroelectrics. (印刷中). (1994)
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[Publications] F.Shimizu: "Dielectric Properties of Tl_2ZnCl_4." Ferroelectrics. (印刷中). (1994)