1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640407
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
永田 一清 東京工業大学, 理学部, 教授 (00013491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 徹也 東京工業大学, 理学部, 助手 (00224519)
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Keywords | 超微粒子 / 超常磁性 / スピンダイナミクス |
Research Abstract |
強磁性超微粒子(粒径〜50A)では、磁気異方性エネルギーがkTに比べて十分小さいために、粒子の磁気モーメントは熱によって揺らいでいる。このような系では、巨大な磁気モーメントが、通常の磁性体の1個のスピンのように振舞うため、その動的な振舞いが興味を持たれている。昨年度は、シリケートガラス中にマグネタイト・クラスターを極めて希薄に析出させ、そのクラスターの磁気共鳴を調べて、いくつかの重要な成果を得た。この系の特徴は、クラスターが弱い磁性媒質中に分散しているため、超微粒子(クラスター)と磁性媒質の両方が系の磁性に寄与する点にあった。今年度は、MnZnフェライトをケロシン溶媒に分散させて、それを低温にして凍らせることによって理想的な超常磁性体を実現させ、その磁気共鳴を調べた。この系の磁気共鳴は、共鳴磁場が温度を下げると低磁場側へ大きくシフトする。この現象は、スピングラスに代表される、いわゆるランダム磁性体に共通にみられるもので、通常の磁性体に成り立っている永田・田付理論とは矛盾しており、その機構はこの20年来のなぞであった。この研究で、我々は、この磁気共鳴の低磁場シフトが、理想超常磁性体という1つの理想化された系で観測されたという事実に注目して、その現象を記述する理論を展開し、ついに、この長年のなぞをであったランダム磁性系の低磁場シフトの機構を、極めて明解に説明することに成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 永田一清 他2名: "Effects of Interchain Exchange Interactions on ESR Modes・・・・・" Journal of the Physical Society of Japan. 62. 3388-3391 (1993)
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[Publications] 永田一清 他2名: "Magnetic Phase Transitions in Rb_<1-X>K_XCl_3 System." Journal of the Physical Society of Japan. 62. 4053-4065 (1993)
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[Publications] 永田一清 他5名: "Magnetic Resonance in CsNiBr_3." Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 140. (1995)
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[Publications] 永田一清 他5名: "Spin Dynamics of Triangular Antiferromagnet CsNiCl_3." Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 140. (1995)
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[Publications] 永田一清 他2名: "ESR Modes in Triangular Antiferromagnets." Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 140. (1995)
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[Publications] 永田一清 他4名: "Antiferromagnetic Resonance in (CH_3)_4NMnBr_3." Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 140. (1995)
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[Publications] 永田一清: "電磁気学" 東京数学社, 161 (1993)