1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640421
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青峰 隆文 九州大学, 理学部, 教授 (50037206)
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Keywords | 反平行量子磁束 / 磁束運動 |
Research Abstract |
超伝導薄膜として粒状アルミを選んだ。その理由は、磁束ピン止めによる臨界電流が小さいためである。まず、粒状アルミ薄膜の酸素雰囲気中での蒸着条件を明らかにした。次に、粒状アルミ薄膜の両側に置く外部磁場勾配を与える導体として、銅またはニオブを選んだ。銅薄膜は真空蒸着で作製した。ニオブ薄膜は、スパッタで作製したが、スパッタ中の真空度が悪いため、ニオブの電気抵抗が大きすぎ、ニオブを使うことを断念した。以上の方法で薄膜化された粒状アルミ薄膜と銅薄膜を、フォトリソグラフィ技術を使用して成形した。この成形により、以前、1975年に発表した我々の実験に比べて実験条件が改善された。ただし、銅の薄膜ストリップに電流を流すと、発生した熱が基板のサファイアを通して粒状アルミ薄膜に伝わり、粒状アルミ薄膜の温度が上がるため、銅の薄膜ストリップに流す電流は小さい値に限定した。 以上の方法で作製された粒状アルミ薄膜に輸送電流を流し、反平行量子磁束の運動に伴う電圧を、外部磁場勾配を与える銅の薄膜ストリップに流す電流に対してXYレコーダー上でプロットした。反平行量子磁束が粒状アルミ試料中で発生し、試料の両端に動くときの電圧が、反平行量子磁束が試料の両端で発生し、試料中で消滅する際の電圧に比べ小さい。このことは、反平行量子磁束を切り離すのに力が必要であることを表している。また、一方向量子磁束の動きの実験を一様な外部磁場中で行なった。これらの実験と計算の比較により、反平行量子磁束が発生・消滅する領域の本質を明らかにするため、その大きさ、2lambda_cを求めた。しかしながら、実験と計算のフィットがあまりよくなく、lambda_cの定量的な値の決定に問題が残っているが、lambda_cは数10ミクロンの大きさであることがわかった。
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