1993 Fiscal Year Annual Research Report
超イオン導電性ガラスの伝導機構におけるパーコレーション・モデルの実験的検証
Project/Area Number |
05640432
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 純一 北海道大学, 理学部, 講師 (50142683)
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Keywords | 超イオン導電体 / ガラス / パーコレーション / イオン伝導 / 交流伝導度 / 緩和 / 臨界指数 / 中距離秩序 |
Research Abstract |
超イオン導電性ガラスの伝導機構については、最近、ガラス転移や高周波数応答の問題、更に、X線・中性子線回折から指摘された中距離秩序構造の存在と相俟って、パーコレーション理論を援用した解釈が盛んに試みられている。しかし、その決定的証拠となるべきパーコレーション限界は観測されておらず、あくまで解釈の域をでなかった。 本研究では、超イオン導電体として良く知られている、ヨウ化銀、もしくはヨウ化銅に、様々なイオン体積を持つ有機アンモニウム塩を加えたガラスを合成することにより、狭い組成範囲で伝導度が8桁以上も急激に変化する、超イオン導電体・絶縁体転移を見い出した。伝導度の組成依存性はサイトパーコレーション理論による計算値と良く一致した。結果の一部は、第二回複雑系の緩和に関する国際会議、および国内の諸学会(物理学会、化学会、固体イオニクス討論会)で報告し、J.Non-Cryst. Solids誌に投稿中である。 一方、これらの系のプロトンNMR、FTIR測定から有機イオンの振動・回転緩和に関する情報が得られ、ガラス中でも有機イオンは-50℃付近まで回転の自由度を保っていることが分かった。また、KENSにて中性子の非弾性・準弾性散乱の測定を行い、現在解析中である。次年度には、高周波誘電特性と銀のNMRおよび、EXAFSの測定を行うべく現在準備している。 また、ガラス転移温度が室温以下のガラスの伝導度測定を行うため対ピストン型超急冷同時伝導度測定装置を製作した。これまで、AgI-アルキルアンモニウム塩系、AgI-硝酸銀系などの超急冷ガラスを作成し、同時伝導度測定に成功した。その途中結果は、化学会北海道支部会に発表した。現在、電極の表面処理、雰囲気ガスの制御などの改良に努めている。
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