1994 Fiscal Year Annual Research Report
火山の熱的過程把握のための自然電位測定および実験的研究
Project/Area Number |
05640461
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西田 泰典 北海道大学, 理学部, 教授 (60000874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 弘光 北海道大学, 理学部, 助手 (10213703)
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Keywords | 火山 / 自然電位 / 界面導電効果 / 熱水対流 / 流動電位 |
Research Abstract |
1.火山地熱地域では,界面導電効果により熱水対流の上昇域に正の自然電位異常が期待される。本研究では,有珠山,北海道駒ヶ岳,三宅島,雌阿寒岳,恵山の5火山において,電位分布を測定すると同時に,地中温度,噴気温度の測定や地下比抵抗測定を行った。その結果,前3火山において空間波長1〜2km,振巾が数100mVにのぼる正異常が分布していることがわかった。これらの異常はいずれの火山でも高地温を示す山頂火口原を中心に分布している。これに対し,後2火山では顕著な異常は見られない。前3火山はここ数10年以内に大規模な噴火を経験しているのに対し,後2火山は小規模な水蒸気爆発以外,歴史時代に大きな噴火を起こしてしていないことが両者を分ける大きな特徴になっている。駒ヶ岳(噴気温度,約100℃)と比べてはるかに熱活動が活発な雌阿寒岳(約500℃)や恵山(約200℃)に電位異常が見られない反面,前3火山では大きな割れ目や断層が発達していることも大きな特徴である。これらのことを考えると,顕著な異常は,近年の活動時に貫入したマグマの残存部により励起された熱水対流が,割れ目の存在により一層促進された結果生じたものであると結論される。これに対し,例えば雌阿寒岳ではマグマの本体が深部にあり,高温蒸気は火道を通じて直接地表にもたらされるために山体に有効な熱水対流が励起されず,従って顕著な電位異常も発生しないと考えれば観測事実を説明出来る。 2.火山における電位異常を定量的に議論するためには,現位置における流動電位係数,とりわけζ-電位を知る必要がある。地下熱水流路,流量等の水理学的モデルが確立しているアトサヌプリ〜川湯地区での電位測定をもとに,現場のζ-電位を測定した所,-14mVとなった。この結果は石戸・水谷(1981)により実験室で得られた知見を支持する。
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