1994 Fiscal Year Annual Research Report
上部マントルとカップリングした地殻流動とリフティングの研究
Project/Area Number |
05640469
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中田 正夫 九州大学, 理学部, 助教授 (50207817)
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Keywords | マントルレオロジー / 地殻流動 / マントルダイアピル / 下部地殻侵食 |
Research Abstract |
マントルのダイナミクスを考える上で、マントルのレオロジー・密度不連続面・上部マントルと下部マントルのカップリング・地殻とマントルのカップリングの性質を調べることは非常に大切である。最近、地震学的トモグラフィーの研究により、密度の不均質性(マントルの熱的状態)が明らかになりつつある。特に、トモグラフィーによって推定される上部マントル内での流れと地殻との粘性カップリングを時間を考慮して理論的に考察することは、造山運動・緑辺海の拡大・リフティングなどの地学現象の物理的メカニズムの解明につながると考えられる。本研究の目的は、トモグラフィーによって推定されるマントルの流れが地殻とどのようなカップリングをし、そのタイムスケールはどのくらいかを定量的に調べることである。本年度の主な結果は、以下の通りである。 地殻流動と上部マントルのマントルダイアピルを通しての力学的カップリングは、マントルプリューム直上の地殻物質が、前弧側に移動することを意味する。このマントルと地殻下部でのダイナミクスは、地学現象としては、マントルダイアピル存在域での堆積盆の形成(下部地殻の侵食;lower crustal erosion)、前弧側での高温変成帯の生成として観察されるかもしれない。関門層群、領家変成帯の形成、中央構造線の形成とはこのメカニズムで説明できそうである。つまりこれらの現象は、(i)下部地殻の侵食に対応した140-120Maの関門層群の形成(堆積盆の形成),(ii)上部マントルの流れによりドラッグされた下部地殻物質の前弧側への移動及びその地表への噴出に対応した110Ma頃の領家帯の形成として説明できそうである。
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[Publications] Masao NAKADA: "Convective Coupling between ductile lower crust and upper mantle,and its tectonic implications" Geophysical Journal International. 118. 579-603 (1994)
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[Publications] 中田正夫: "ハイドロアイソスタシ-と西九州の水中遺跡" 第四紀研究. 33. 361-368 (1994)
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[Publications] Masao NAKADA: "Reles of mantle diapir and ductile lower crust on island-arc tectonics" Tectonophysics. (印刷中). (1995)