1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640477
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
米谷 俊彦 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (00025412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 良明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90221176)
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Keywords | 植物群落 / 穂波 / 乱流輪送 / 揺れのスペクトル / 群落表面温度 |
Research Abstract |
平成5年度に測定された資料の解析を行うとともに、今年度も、コムギとイネ群落の内外において、群落生物環境反応測定装置を用いて、運動量、顕熱、水蒸気量、炭素ガスなどの乱流輪送量を測定した。また、歪ゲージやサーモトレーサを用いて、植物体の揺れや、群落の一定面積の表面温度を測定し、群落内外の固定点における乱流輪送量、穂波現象、葉温などとの関係も調べた。以下に大要を記す。 1994年春にコムギの成育段階毎に観測を行い、成育に伴う揺れの変化を調べ、固有周期が成育に伴って変化することを確かめた。また、5月上旬の強風時における植被の揺れと、群落内外の乱流輪送との関係を調べ、植被の揺れが激しい時に、運動量、熱、炭素ガス、水蒸気の輪送も盛んに行われていることを、定量的に明らかにすることができた。また、群落内外の輪送量の相対的な大きさや向きは、物理量毎に異なっている。これは群落内部のソースやシンクの分布や強さが各物理量毎に異なっているためと思われる。 1994年夏季には、イネ群落内外で、コムギ群落におけるとほぼ同様な観測を行った。イネ群落上では潜熱の輪送量が圧倒的に大きいものの、顕熱輪送の下向き輪送がしばしば観測された。この現象に影響する気象要因について、数値シミュレーションによって、検討した。また、穂波が存在している場合に群落表面温度が急激に低下し、弱風になると表面温度が上昇することを、サーモトレーサの記録と、揺れやビデオの画面と対応させることによって明かにすることができた。1993年の台風13号通過時の資料を解析し、強風から弱風に変化する場合の揺れのスペクトル特性を明かにした。九州地方の農作物の被害額が最大風速の4乗に比例し、変位エネルギーに比例するという結果が得られた。 2年間に得られた結果を取りまとめて、10個の課題に分けて成果報告書を作成した。
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