1993 Fiscal Year Annual Research Report
西部北太平洋における人工衛星画像の時系列データを基にした海洋力学に関する研究
Project/Area Number |
05640479
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬谷 紳一郎 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30112353)
今脇 資郎 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (40025474)
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Keywords | Western North Pacific / NOAA MCSST / COADS / fractal / wavelet / inversion / advection / heat flux |
Research Abstract |
SSTアノマリイ場についての正規直交ウェイヴレット解析により西部北太平洋において卓越する変動周期を見いだした。一つは十年オーダーの変動でありENSOサイクルに対応し、もう一つは準二年変動に対応すると考えられる。またウェイヴレット解析の結果は時間情報を含むため、フーリエ解析に比べ、物理的解釈がより容易に得られることが示された。 この研究で新たに提案されたインヴァージョンモデルにより熱アノマリの輸送をSST場の時系列から見積り、海洋表層部での熱アノマリのバランスの解析や各種物理パラメータの推定にこのモデルが極めて有効であることを示した。北太平洋西部の亜熱帯循環域では大気フォーシング項が支配的であるが、更に高次のバランスでは水平拡散項の効果が移流項の数倍に達している。また熱アノマリーのダンピング項の効果は移流項と同程度であった。同時に評価された平均移流速度、水平拡散係数、SSTアノマリー緩和時間等についても他の手法による見積もりと合致する結果が得られた。 COADSを用いた熱フラックスの、時空間的に高解像度の計算を行った。その結果を上記のインヴァージョンモデルに導入することにより、更に現実的な平均移流速度を得ることができた。 将来のより一般的な手法の開発研究を一つの目的として、本研究で得られた成果を日本海に適用した。1993年秋のNOAA衛星による高解像度画像(AVHRR)を用いて日本海全域の多チャンネル海面水温(MCSST)分布を評価し、その結果に直交Wavelet解析を適用した。この解析手法は海洋の乱流構造の局所的特性を抽出するのに特に効果的であり、乱流現象と大規模な海洋循環との時空間的な分離が可能となり、多重時空間スケールで構成される海洋現象の、特にエネルギー分布に関して理解が深まった。また時空間的に高解像度の熱フラックスを計算し従来の結果と基本的に一致しているが、より詳細な解析が可能となる基礎データを得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Bunimovich,L.A.: "Observations of the fractal properties of the Japan Sea surface temperature patterns." International Journal of Remote Sensing. 14. 2185-2201 (1993)
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[Publications] 鍵本崇: "高解像度海洋循環モデルによる海洋観測システム設計の研究" 海洋観測国際共同研究計画(GOOS)ニュースレター. 1. 54-73 (1994)