1993 Fiscal Year Annual Research Report
中央構造線に沿う非対称プルアパート堆積盆の形成過程
Project/Area Number |
05640498
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮田 隆夫 神戸大学, 理学部, 教授 (00107989)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 博夫 神戸大学, 理学部, 助手 (40112073)
|
Keywords | 中央構造線 / プル・アパート堆積盆 / 横ずれデュープレックス / 和泉堆積盆 / 上部白亜系和泉層群 / 擬似モデル実験 / フィッション・トラック解析 |
Research Abstract |
中央構造線(MTL)は五條屈曲の西側地域(和泉山脈)においてプル・アパート・デュープレックスを形成する。各プル・アパートには上部白亜系和泉層群が堆積した。そこで,本研究はMTLに沿うプル・アパート・デュープレックスの実態を明らかにし,プル・アパート形の和泉堆積盆の形成過程を擬似モデル実験を用いて再現することを目的とした。この研究で明らかになった点及び試みた点を以下に述べる。1.プル・アパート・デュープレックスの検討:和泉山脈東部地域の調査や神戸大学理学部附属臨海実験所の調査船を用いた紀淡海峡の調査でプル・アパートをつくる断層系についての新しい知見が得られた。プル・アパートの長さと堆積物の積算層厚との間には正の相関があることを明らかにした[構造地質研究会講演(1993.12);韓国慶北大学校,第15回国際シンポジューム講演予定(1994.8)]。2.擬似モデル実験:非対称プル・アパート堆積盆を再現するためにコンピュータで変位速度を制御できる新型の実験装置を作製し,擬似モデル実験をおこなった。実験の結果,(1)プル・アパート堆積盆の形成に主断層の屈曲部に発生する2次的断層が重要であること。(2)和泉山脈北側地域の断層系形成がMTLの断層運動と関係すること,(3)和泉堆積盆形成が五條屈曲における横ずれデュープレックスの段階的形成によることを明らかにした[地質学会関西支部報,no.115,p.7(1973),no.117,p.24(1993);日本地質学会第100年学術大会講演要旨,p468,496(1993);構造地質,no.40,印刷中;投稿論文準備中]。3.フィッション・トラック解析:和泉層群の積算層厚とフィッション・トラック・ジルコン年代とから,和泉堆積盆の急速な沈降運動(2km/Ma)を明らかにした[宮田ほか,1993]。さらに,アパタイトのフィッション・トラック解析から和泉堆積盆の上昇速度(0.33km/Ma)を試算した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 宮田隆夫・岩本正人: "和泉堆積盆の東進メカニズム" 構造地質. 40号 (印刷中). (1994)
-
[Publications] 岩本正人・宮田隆夫: "非対称プル・アパート堆積盆の擬似モデル実験" 構造地質. 40号 (印刷中). (1994)
-
[Publications] 宮田隆夫他3名: "和歌山及び尾崎地域の地質・地域地質研究報告" 通産省工業技術院地質調査所, p.68 (1993)
-
[Publications] 宮田隆夫他8名: "5憶年の歴史.近畿地方のおいたちをさぐる" 大阪市立自然史博物館(分担執筆), p.52 (1993)