Research Abstract |
この研究の目的は,クサリ礫の残留磁気(CRMと推定している)の性質(広域同時帯磁,微少方向分散)を用いて,最近の(Pleistocene以後)地殻変動量とクサリ礫の帯磁年代を古地磁気学的に解析することである。 当初,この目的のために選んだフィールドは中央構造線に沿う地域であった。しかし,研究代表者が所属学科の学科長として選ばれ,遠隔地での試料採取が困難になったため,主なフィールドを島根県の宍道湖近辺に変更した。そして,この地域から,MIOCENE,および,PLEISTOCENEの堆積層中のクサリ礫から定方位試料を採取して,残留磁気の方向と堆積層の構造変化を結びつける試みを行っている。採取した試料については,現在,古地磁気学的測定を継続している。なお,富山,飛騨高山,名古屋近辺のクサリ礫を若干採取できたので,当初の目的もある程度達成できる見込みである。 計画の変更により不要になった遠隔地への旅費を使用して,クサリ礫のEPMA観察のための試料台,および,ダイヤモンドペースト等の消耗品を購入した。現在,採取したクサリ礫について,EPMA観察用の試料作りを行っているところである。EPMA観察により,クサリ礫の磁性鉱物の種類,サイズ,形状を明らかにし,「クサリ礫の残留磁気はバクテリア起源のCRMである」という仮説を実証しようとしている。なお,研究代表者はEPMA観察に不慣れなため,経費の一部を使用して,東京で開催されたEPMAの講習会に参加した。 本研究で得た成果は,本年秋の学会で発表する予定である。
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