1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640511
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松居 誠一郎 宇都宮大学, 教育学部, 助手 (20134257)
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Keywords | シラスナガイ科 / エゾタマキガイ / 分類 / 殻構造 / 成長線 / プロジェニー / 深海二枚貝 |
Research Abstract |
シラスナガイ科二枚貝の系統分類:上総層群のいろいろな層準から産した「ナナメシラスナガイ」の成体殻と原殻の形態を比較した結果、かなりの産地間の差異が認められた。系統的に密接な複数の種が含まれる可能性がある。(なお、本種の学名L.obliquaは先取されている;命名規約上の再検討が必要である)。高知の登層産のオリイレシラスナガイ類の分類学的検討の結果、既記載種に比較できないことが判明した。この種に類似した標本が掛川層群満水層からも知られている(名古屋大延原氏による)。現生ナミジワシラスナガイの分類を検討した。漸深海帯下部の標本は形態的にそれ以浅の標本と区別され、新種とすべきである(浅海種の学名Limopsis oblongsにも命名規約上の問題点あり)。 深海二枚貝類の成長線解析による古生態復元:オオシラスナガイ貝殻の微細構造を検討した。成長にともなう周期的な殻構造の変化が認められた。比較のために浅海のフリソデガイの年間を通じた定期的標本の殻構造を検討したところ、年周的な構造変化が認められ、おもに食物の供給が規制要因であると結論された(東大仲岡氏との共同研究)。深海貝類の類似の成長構造も食物の供給の変動が原因かもしれない。エゾタマキガイの殻形態と成長構造から、通常の約半分のサイズと年齢で成熟すると思われる、プロジェニー個体群が発見された。この個体群は通常の個体群より水深の大きな環境にあらわれる。深海環境において、プロジェニーをもたらすようなr戦略が有効なケースがあるらしい。 現生深海二枚貝の生物地理のデータ集成:日本周辺の分布データの整理をおこなった。データ量が多いため、まだ不十分な集成しか完成していないが、化石群の評価に有用である。
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