1993 Fiscal Year Annual Research Report
化石長鼻類(ゾウ)の歯の微細構造の機能形態学的意義
Project/Area Number |
05640513
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神谷 英利 京都大学, 理学部, 助手 (00115825)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 照文 京都大学, 理学部, 助教授 (40194245)
|
Keywords | 長鼻類 / ステゴドン / アケボノゾウ / エナメル質 / エナメル小柱 / エナメル質内層 / エナメル質外層 / パラステゴドン |
Research Abstract |
長鼻類の進化過程における歯の形態の変化、とくに始新世のメリテリウムやパレオマストドンのような原始的なものから中新世の新しいタイプのマストドンへの移行期にみられる大型化、第三紀末のマストドンからエレファスへの移行における鈍頭歯から板状歯への変化・歯根の発達・歯冠セメント質の発達・切歯(牙)の大型化など、新しい形態上の形質の出現が、歯の内部構造の変化とどのように関係しているのかが重要な問題である。 本研究では、進化的に中間的な形質を持つ長鼻類であるステゴドンとステゴロフォドンを中心にすえて、その前後に位置するマストドン(ゴンフォテリウム)やエレファス(現代型のゾウ)を含めて、歯の形態と機能の観点から、形質の変化のひとつひとつについてエナメル質・象牙質・セメント質の微細組織、その構成単位の形態変化、配列様式の変化などを光学顕微鏡、電子顕微鏡等を主な手段として詳しく解析するのがねらいである。 平成5年度はステゴドン科のひとつであるステゴロフォドンのうち、日本産のエオステゴドンは形態的にはより進んだステゴドンの稜状歯に近い特徴を持っていて、世界でも最も古い層準から産出する。エナメル質は2層からなり、原始的な長鼻類の単一の層からなるエナメル質とは明らかに異なる。この試料について、咬合面における稜の形態の特徴(比較形態学)、エナメル小柱の配列・シュレーゲル条の発達状況など(比較組織学)の観察・検討を行った。 さらに現代型の長鼻類(エレファス)の先駆的な特徴を持つステゴドン、なかでも特に進んだ形態を持つ「パラステゴドン」について検討し、機能的に現代型のゾウに近い高い歯冠と板状に近い稜状の歯、歯冠セメント質の発達、2層からなるエナメル質など高い進化的特徴を持つ事を見いだした。
|
Research Products
(1 results)