1993 Fiscal Year Annual Research Report
花粉分析による古琵琶湖層群の生層序ならびに古環境変遷の研究
Project/Area Number |
05640522
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
那須 孝悌 大阪市立自然史博物館, 学芸課・学芸課長代理 (30110042)
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Keywords | 古琵琶湖層群 / 植物化石 / 花粉分析 / 第三紀型植物の消滅 |
Research Abstract |
滋賀県犬上群多賀町四手で,古琵琶湖層群の蒲生累層最上部から草津累層下部に至る層準の植物化石を採集するとともに,花粉分析試料を採取した。この試料を分析することにより,古琵琶湖層群堆積域の北部における第三紀鮮新世末から第四紀更新世の初めにかけての,第三紀型植物群の消滅過程が明らかとなった。伊賀・上野盆地から湖東平野にかけて分布する古琵琶湖層群から採取した植物化石群集とともにデータを整理し,得られた古植物生層序について論文を作成中である。 また,高島沖の琵琶湖底で実施されたボーリングコアについて,現湖底から深い方向に向かって順次花粉分析に取り組んだ。これにより,最終間氷期の終末期,すなわち広域テフラの阿蘇4火山灰層層準から,最終氷期を経て現在に至るまでの,古植生変遷について明らかにすることができた。それとともに日華区系暖帯亜区系の固有属であり,現在の日本に於いて普通に見られる馴染み深い植物の一つであるスギの古生態について興味深い成果が得られた。最終間氷期における変遷を明らかにするため,更に下位の層準に向かって花粉分析をするため,ボーリングコアからの試料を採取し,現在も分析を続行している。 さらに,古琵琶湖層群と同時代と思われる佐賀県北部の玄部岩層の下からスギ材が産出したという情報を得たため,現地で植物化石と花粉分析用の試料を採取し,比較検討を行った。現在は地層の年代を確定するため,山口大学及び広島大学の岩石学者と地質学者に協力を求めて調査をしている。
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